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空を見上げる白き蓮 別事象『幽州√』
第一話 友を得る白馬
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関係も悪くない。もし、離れたとしても……二人はずっと友で居てくれる。そんな気がする。
 弾む心をそのままに、暴走から帰ってきた牡丹を交えて、私達は酒宴を続けて行く。
 私はこの時に、大きな何かが始まった気がしていた。







蛇足 〜龍の友〜


 白蓮殿は徐晃殿に“さん付け”される事を嫌い、呼び捨てでいいと許した。勿論、牡丹は反対したが無理やり押し切られていた。そんな中――

「秋斗の敬語ってさぁ……今思うとなんか気持ち悪かったよな」
「遅いですな白蓮殿。私は始めっから拒否しましたぞ」
「まあ……なんていうか無理してる感じが凄く出てましたからね。腹黒いくせに敬語使っても誠実さや真面目さなんか出せるわけないんです」
「おいちょっと待て。今日会ったばっかりの人に敬語使っただけで、なんでそこまで言われないとダメなんだよ」
「お前……私に対しては敬語で話してませんでしたよね?」
「初対面で斧向てきたガキ相手に敬語なんざ使ってられるかバーカ」
「お、ま、え、はぁ! なんで私にだけそんな態度なんですか!」
「え? 面白いから」
「あーもう! むかつきます! 一回その脳髄を洗ってやりましょうか!? 白馬のような白さにして――」
「そして綺麗な徐晃殿になる、と。牡丹よ、そんな徐晃殿を想像してみろ」
「……うっわ、気持ち悪いです」
「あはは! 秋斗が誠実で爽やかとか無理だろ!」
「そこまで言うか白蓮……。趙雲殿、後で覚えておけよ?」
「さぁ、なんのことやら」

 このように、他愛ない会話を交えつつ酒宴を続け、食事に舌鼓を打ち酒を飲むこと幾分。酒瓶をトントンと指で二回叩くと、彼は大きくため息をついた。忘れた、などと言わせるわけが無い。

「白蓮に頼みがあるんだが」
「なんだ?」
「俺と趙雲殿が酒呑み勝負するから立会人になって貰いたい」
「……お前、正気か? 星の強さは尋常じゃないぞ?」

 私が普段飲む量を知っている白蓮殿は心配そうに彼を見つめた。しかし徐晃殿は……にやりと笑って答え返した。

「男にはな、意地があんだよ。相手がどんなモノだろうと、心を決めた時は逃げちゃダメなんだ」
「その心意気は認めますが……無謀ですよ?」
「無謀だろうが無茶だろうが押し通すのが男だ」

 牡丹は呆れたようにため息を一つ。白蓮殿は私に目を向けて、手を抜いてやれと言外に伝えていた。しかしそれこそ野暮な事。彼の覚悟を貶める事など、私に出来ようはずもない。

「此処まで言うのですから相当に自信がおありなのでしょう。勝負の形式は如何致す?」
「返杯のし合いでいいだろ。大体同じ量を呑んでるし、この酒宴が終わるまでに潰れた方が負けってのでどうだ? ま、俺は杯じゃなくて瓶で行くが」
「よろしい。ならば――」
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