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空を見上げる白き蓮 別事象『幽州√』
第一話 友を得る白馬
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一人よがりだったのは……私だ。だから彼女は悪くない。

「主従関係は私のわがままで待ってもらう事になりますが、あなたの友としてこの地を守りたいのです……如何ですかな?」
「俺も身分の低い身で失礼かもしれないけど、この地が好きで仕方ない伯珪さんと友になりたいな。良かったら秋斗って呼んでくれないか?」

 ジワリと瞳が潤んだ。
 才能のある二人が、こんな普通な私と友になりたいと言ってくれるなんて思わなかった。
 素直に嬉しいと胸が弾む。私は今、どんな顔をしてるんだろう。何故か口から笑いが零れた。今は自然と、思ったまま言葉を返そう。

「ふふ、ははは! ありがとう。じゃあこの私、白蓮と一緒にしばらくこの地を守ってくれ。徐公明と趙子龍が納得したら、公孫伯珪と一緒に戦ってくれ。それでいいか? 星、秋斗」

 不思議な感覚だった。ふわふわと心が軽く、何か重たいモノが少なくなった気がしていた。
 ゆっくりとそれが理解出来ていく。きっと……『白蓮』が認められたから半分無くなったんだ。

「星も徐晃も……白蓮様の想いを理解したなら正式に仕えればいいのに……」

 口を尖らせて不満を漏らす牡丹を見て、どこまで行ってもこいつは私の部下なんだと気付く。ただし、彼女は私の事を一番に想ってくれる……忠臣、なんだろう。

「そう言うな牡丹。それぞれの在り方の問題だからな。ここから公孫賛が二人に示して行けばいいだけさ」

 言いながら頭を撫でると、牡丹は顔を真っ赤に染め上げて慌てだした。

「ぱ、ぱぱぱ白蓮様が私の頭をっ! ああ、ダメです夜といってもまだ周りに人がいるんですからそんな急に誘われましてもいつでもばっちこいな私でも悩んでしまいますいえ別に拒否しているわけでは無いのですがなんというか初めてですし二人きりの方がいいといいますかでもでも白蓮様が望むなら人に見られてでもいいというか――」
「っ! あははは! 頭を撫でられただけで何を言っているのだお前は!」

 いつもの如く、暴走し出した牡丹。星は内容が聞き取れたのか思いっ切り吹き出して笑い出した。秋斗はくつくつと喉を鳴らして呆れたように苦笑し始める。
 私は怒鳴る事無く、今は放置する事にして、秋斗と星を見やり杯を掲げた。

「改めて、二人と友としての酒を酌み交わそうと思うんだけど……どうかな?」
「クク、白蓮殿。聞かずとも私達には断る理由も無いのですが」
「だな、白蓮さんみたいな人と友になれるなら嬉しい限りだ」

 嬉しそうに笑った二人もすっと杯を掲げて、私に優しく微笑んだ。

「ふふ、これが私だからさ。……では、新たな友との絆にっ」

 カチャリと音を鳴らした三つの杯は直ぐに空になった。喉を通る熱さは胸に来る嬉しさと合わさって私を暖めてくれる。
 ああ、こんな
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