三十三 崖底蛙
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
!」
虹ではなく蛙を前にして飛び跳ねる。はしゃぐナルを自来也は呆然と見つめた。次いで視線を蛙に向ける。ナルに貰ったお菓子をバリバリと頬張っているガマ竜を目にして、彼ははあ〜…と溜息をついた。眉間を押さえる。
「……確かに【口寄せの術】は出来とる…。だがのォ、」
そこで言葉を切った自来也はズイッとナルに顔を寄せた。心底呆れ返った声を出す。
「それでどーやって闘うっちゅーんじゃッ!!」
「は……」
はしゃいでいたナルが目を大きく見開いた。自来也を見て、ガマ竜を見て、そしてまた自来也を見る。視線を何度か往復した後、彼女はガクリと膝をついた。
「戦力にならんもんを呼んでど〜する!?」
すっかりしょげているナルを見下ろしながら、自来也はもう一度深々と嘆息した。
そもそも【口寄せの術】はチャクラをかなり消費する術である。未だ下忍であるナルではチャクラが足りない。せいぜい小さい蛙を呼びだす程度だ。忍犬ならともかく蛙の戦力は大きさで決まる。
(例外もあるがのォ…)
妙木山にいるであろう師を思い浮かべる。口元に苦笑を湛え、自来也はナルの頭をがしがしと撫でた。
「でもまあ…【口寄せの術】――時空間忍術は成功だ。その感じを忘れるんじゃないぞ」
唇をきゅっと結んでいるナルの顔を覗き込む。自来也の慰めの言葉に、彼女は益々顔を歪めた。掻き消えるほどの小さな、しかし落胆が込められた声を漏らす。
「…こんなんじゃ、ネジには勝てないってばよ……」
ナルの一言を耳にして、自来也は常日頃悩んでいた考えを思い巡らした。
手っ取り早い方法は確かにある。だがかなりの荒療治であるため、流石に逡巡する。
しかしながら強い光を宿したナルの瞳に圧し負け、自来也は静かにかぶりを振った。小さく、「悪く思うな、四代目よ…」と詫びの言葉を呟く。
「え、」
声が途切れる。出し抜けに気絶させられ、ナルはその場に崩れ落ちた。
岩場に激突しかける寸前、彼女の身をそっと受け止める。同時にガマ竜の姿が煙と共に消えていった。
(身の危険や感情の昂りが九尾のチャクラを引き出す鍵なら…)
気を失ったナルの身を背中に乗せる。水浴びする女性達のはしゃぎ声を背にして、自来也はナルを背負い上げた。
(…その鍵の使い方を体で覚えさせるまでだ)
目を覚ますと、己の師が険しい顔つきで見下ろしていた。
「…わしは本来、女には優しいのだがのォ」
少しばかり躊躇する素振りを見せる自来也を、ナルは不思議そうに見上げた。なぜか足下から風が吹いてくる。
ナルと視線を合わせるために自来也は腰を屈めた。やはり彼女の瞳は先ほど同様強い光を湛えている。強くなりたいといった想いを感じ取り、自来也は今一度吐息を吐いた。
「死にたくなか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ