暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
蒼き魔女の迷宮篇
18.宴の前の再開
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 絃神島はいつものように暑い。
 朝の太陽の強い陽射しが寝不足の身体に容赦なく降り注ぐ。
 寝不足じゃなくても吸血鬼には朝が辛いのに加えて絃神島の殺人光線は、緒河彩斗のやる気を喪失させるのに充分すぎる要因だ。

「暑っちー……今日は休校だ。俺の中でいまそう決めた」

「そんなわけないでしょ。ホラ、早く行かないと那月ちゃんにまた怒られるよ」

 伝説の吸血鬼と獅子王機関の剣帝は、朝の車優先の異様に時間が短い歩行者信号がに足止めをくらっていた。

「なんかいつもよりも疲れてるみたいだけど。なにかあったの?」

「あ、ああ、昨日色々あったんだ」

 思い返すだけで再び疲れが襲ってくる。そして顔がほのかに熱くなる感覚が蘇る。

「どうしたの? 顔赤いけど?」

「い、いや……なんでもない」

 昨日のことを友妃、もしくは雪菜に知られたあかつきには彩斗は獅子王機関の秘密兵器とやらに突き刺されるだろう。

「そういや、逢崎?」

 友妃にふと疑問に思ったことを訊く。

「お前の背中のそれって姫柊や煌坂みたいな獅子王機関の兵器なんだよな」

「うん、そうだよ」

 無邪気な笑顔で答える。

「ってことは……やっぱり……」

「そうだね。ボクの夢幻龍(むげんとお)も真祖を殺すための兵器だからね」

(あっ……ですよね〜)

 先ほどの無邪気な笑顔のまま友妃は彩斗にそう告げた。
 信号が赤から青に変わり、一定のリズムを奏でる。
 友妃がペダルを回し、前進する。

「ほら、行くよ、彩斗君!」

 これが緒河彩斗の今の日常だ。
 政府公認のストーカーにつきまとわれているこんな日常が一番平和なのかもしれない。そんなことを考えながら彩斗は彩海学園を目指すのだった。




 波朧院フェスタ開催まであと二日と迫った教室は賑やかすぎて寝不足の彩斗には適さない空間だ。
 あそこから猛スピードでロードバイクをこぎ、ギリギリ朝のSTに間に合った。まさか通学路としていた道が工事しているなど予想外だった。そのせいで体力を大幅に持っていかれた。
 そしてギリギリ間に合ったと思えば、まさかの那月は攻魔官の仕事で女子高生のコスプレをして街を徘徊しているため、代理として人工生命体(ホムンクルス)のメイド服のアスタルテが教壇に立っていた。

 彩斗は、机の上で腕を枕にして眠りにつく。熟睡することは出来ずとも少しは休むことができるはずだ。
 クラスの男子生徒たちが、古城のまわりに集まるのを感覚で感じたが彩斗には関係のないことだ。睡魔が徐々に彩斗の身体を呑み込む。

「緒河ァー、お客さんだよ」

 もう少しで眠りにつく寸前に意識を戻されてむすっとした顔で起き上がる。

「誰
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