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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第八話 伝説
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 凍った時の中、最初に動きだしたのは……ルイズだった。

「……だから、わたしがやる」
「は?」
「わたしが……アレを落とす」

 顔を真っ赤にさせたルイズが、しっかりと士郎を見つめている。

「なっ、そんなこと出来――」
「出来る」

 士郎の言葉を遮り、ルイズが“始祖の祈祷書”を士郎の目の前で広げて見せる。

「“虚無”の魔法……“エクスプロージョン”なら、誰も傷付けずにアレを落とせる」
「虚無の……魔法……っ! まさかルイズ。 いやっ、それより誰も傷付けない、だと?」
「……うん。わたしの魔法なら、出来る。だからシロウ……わたしを……信じて」

 ルイズの真摯な瞳に、士郎が逡巡を見せる。
 
「シロウ……」

 縋るような、それでいて硬い決意と覚悟を秘めたルイズの瞳に、

 覚悟を決めた目……これを覆すのは……無理、か……それに――

 士郎は一度目を閉じ 

 わたしを信じて……か。

 目を開ける。
 





「ああ、分かった」
「! 本当っ!」
「それで、俺はどうしたらいいんだ?」
「出来るだけ、あの船に近づいて。それで、わたしが合図するまでぐるぐる回ってて」
「了解」

 士郎はルイズの命令に了承すると、ゼロ戦を一気に上昇させ、“レキシントン”号の上空にあっという間に到達し占位した。
 “レキシントン”号の上空にゼロ戦が到達すると、ルイズはシロウの肩に跨がり、風防を開けた。
 士郎の顔に向かって、猛烈な風が顔に当たる。

「なっ! る、ルイズ。何してるっ! 危険だ!」
「い・い・か・ら。わたしが合図するまで、ここでぐるぐる回っててなさいっ!」

 ルイズは息を吸い込み、目を閉じた。そしてかっと目を見開き、“始祖の祈祷書”を読みあげる。
 エンジン轟音の中、ルイズの朗々と呪文を詠みあげる声が混じる。

 ―――エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ―――

 ルイズの中を、リズムが巡る。どこか懐かしさを感じるそれは、呪文を詠唱するたびに、強くなっていく。神経は鋭く鋭敏に、辺りの雑音は聞こえなくなる。
 体の中で、何かが生まれ、行き先を求めそれが回転しているのを感じる……
 そう誰かが言っていた……自分の系統を唱える者は、そんな感じがするという。
 だとしたら、これがそうなんだろうか?
 いつも、ゼロと蔑まれていた自分……。
 魔法の才能がない、と両親に、姉達に、先生に叱られていた自分……。
 これが……本当の自分の姿……?

 ―――オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド―――

 体の中に、波が生まれ、さらに大きくうねっていく。

 ―――べオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ―――

 体の中の波が、
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