暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth3そして結末への旅が始まった〜Per aspera ad astrA〜
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「ぐっ・・・」頭痛と胸痛が。来た。私という存在を削る悪夢の予兆だ。彼の命の灯火が弱まっていく。さらに効力を上げようとしたその瞬間。

――あっ、ルシルだ。ジョニーは今居ないよ。もお、どこ行ったんだろ?――

(メイ・・・)

――こんにちはルシルさん。はい。みなさん、良くしてくれてます――

(ディズィー・・・)

――チッ。厄介な奴と出遭っちまったな――

(ソル・・・)

――おお、久しぶりっ、ルシリオンの旦那――

(アクセル・・・)

まるで走馬灯のように流れるかつての契約先世界で知り合った友人たちの顔と声。あぁ今度は君たちが私の思い出から去っていくのか・・・。ノイズが走り、目の裏に浮かぶ友人たちの姿が次々と消えていった。一瞬の暗転。

「・・・・あ・・・?」

視界が晴れる。

(また何かの記憶を失った・・・・のか? )

たとえ失ったのだとしても思い出す事も出来ない。思い出せもしないというのにしっかりと残っている喪失感。いや、失ったモノはもう取り戻せない。今は後回しだ。すぐにエリーゼの父親の容体を確認した。

「っ・・・・あは・・・ははは・・・。記憶を失って、目の前の命も救えない、か」

エリーゼの父親は絶命していた。「くそっ!」と地面を殴りつける。あまりの自分の無力さにどうしようもなく苛立つ。と「マイスター?」と側を浮遊している魔力球から声。アギトが起きてしまっていた。さすがにあそこまで声を荒げれば起きてしまうよな。
私を見るアギトに「起こしてしまってすまない」と謝る。アギトは小さく首を横に振った後、自分を包んでいる魔力球を心配げな目で見る。閉じ込められている、と思ってしまったんだろう。すぐに解除して、アギトの足元に手に平を持っていく。アギトはゆっくりと手の平の上に座り込んだ。

「眠っているのを邪魔したくなかったんだ。嫌な思いをさせてしまったんだったら・・・」

「ち、違いますっ。あ、いや、違わないわけでもなくてっ。えっと・・・!」

気を遣うか素直になるかどうかで混乱しているのか、アギトは首や腕を振りまくる。私は「気を遣わなくていい。素直に、君の本心を聞かせてくれればいいよ」と微笑みかける。するとアギトは「・・・閉じ込められたと思ってちょっと怖かったです」と俯いた。安心させるようにその小さな頭を撫でる。「うにゅ?」と声を漏らしたアギト。

「これ、頭撫でてもらうの、気持ち良いです・・・」

「そうか。それは良かった」

改めて自分の今なすべきことを考える。他にも生存者がいるかもしれない。だからいつまでも沈んでいるわけにもいかない。エリーゼの父親の手を胸の上で重ねた後、他の生存者を捜すために屋敷を後にする。屋敷の外は亡骸ばかりだ。私が討ったマサーカー・オルデ
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