暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth3そして結末への旅が始まった〜Per aspera ad astrA〜
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「・・・気をしっかり保て! 目を瞑るなッ。開いて私を見ろッ」

しかしその目を塞ごうとまぶたが何度も閉じようとするのを、声をかけて意識を保たせる。ここで眠りについてしまったら間違いなくそのまま逝ってしまう。それほどの傷だ。正直人間がここまでのダメージを負って生きているのが信じられない。あまりの体の酷い有様に、このまま死なせた方が良いのかもしれないと考えてしまうが、それでも助けられるのなら助けたい。

――ねえルシル。その魔術(チカラ)は何のためにあるの?――

――ゼフィ姉様。それは・・・――

(守りたいモノを守るため。救いたいモノを救うため)

――今は戦時だから敵を殺すことが多くなる。だからその一線を忘れないでねルシル――

ゼフィ姉様――実姉ゼフィランサス・セインテスト・アースガルド――との約束を思い出す。殺すこと以外、人命を救うために魔術を使いたい。

「ごほっ・・・おま・・・エリー・・・ぅぐ・・拾って・・・男・・・」

「喋るなッ、死にたいのかッ!」

ラファエルでは限界があるか。私のように死に難い体なら時間をかければ大丈夫だろうが、あいにくと彼には時間が無い。だったら・・・

(記憶の消滅覚悟で・・・アレを使うか・・・)

記憶を取るか人命を取るか。2つの選択肢。考えるまでもない。すぐさま上級術式の発動準備。術式を組み立てて、

――女神の祝福(コード・エイル)――

私が有する治癒系術式の最高峰――エイルを発動した。エイルは対象が死人でなければ如何なる傷でも治すことが出来る術式だ。その分、魔力消費が酷いが、なんとかギリギリSSS範囲内に収めることが出来た。
以前の契約で次元世界に召喚された時、上級術式は空戦形態ヘルモーズ以外は制限されていたのに、この次元世界この時代では許される。だから本当に助かる。これで彼を助けることが出来るのだから。そう思ったのに・・・。

「駄目だ、目を閉じるなッ。もう少しだけ耐えるんだ! 思え、残している家族の事を! 生きようとする活力を捻り出せッ!」

すると彼の目に一度だけ光が戻った。僅かに口を開いて何かを言おうとしている。喋るなと言っているのに聴かない男だ。仕方ないから口元に耳を近付ける。彼は「わた・・の・・可愛・・・娘・・・エリーゼ・・・たのむ・・・」と血反吐を吐きながらも言う。私の可愛い娘エリーゼを頼む、か。エリーゼの父親だったのか。確かに目元が似ているか。

「判った! エリーゼの事は任せろっ!」

私は答えの選択を間違ったのかもしれない。彼は安堵したのか小さく息を漏らし、「ずっと・・・愛して・・と伝え・・・」と静かに目を閉じた。さっと血の気が引く。「諦めるな馬鹿者ッ!」と声をかけ、エイルの効力を上げる。と同時に
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