暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth3そして結末への旅が始まった〜Per aspera ad astrA〜
[4/20]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
目を見詰めて、言った。

「またどこかで恩を受けてそれを返すってことになって、もしそれがアムルやラキシュ、果てにはシュトゥラにとって禍いになるとしたら。それは凄く恐ろしい事だわ。だから彼がこの街に残ってもらうように仕向けたいの。あれ程の力、見逃してしまうより目の届くところ、アムル防衛のために残ってもらった方が――」

「・・・こっちの勝手な都合でオーディンさんをアムルに縛れっていうの?」

アンナの言い分はおかし過ぎる。だから「却下」する。オーディンさんは確かに強い。それも尋常じゃない程に。なにせ騎士団丸ごと1つを単独で、しかも短時間で潰したんだから。その戦力をアムルに常駐させておけば、確かにアムルは安泰だと思う。

「エリー。イリュリアが攻めてくるのが今回だけとは限らないのよ? ううん、間違いなくこれが始まりに――またこんな酷いことになってしまう。そうなったら私は耐えられない。私の育ったこのアムルの街がもう一度メチャクチャにされるなんて・・・」

ボロボロになった街並みを見回したアンナは泣きそうな顔になる。わたしももう一度見回す。本当に酷い有様だった。自然と両拳を握りしめてしまい、「わたしだってそうだよ。二度とこんな事されたくないよ・・・」って同意する。アンナは「だったら!」って詰め寄ってきた。

「でもそれで人ひとりの自由を縛っていいわけないよ・・・。それに、オーディンさんが居なくても第一〜第三騎士団が国境を護っているから・・・」

ラキシュ領の領主であるヨーゼフ・シュミット伯爵が国境防衛のために置いた三騎士団。そんな彼らが護ってくれるって言ったら、アンナがキッと目を鋭くして「ソイツらがちゃんと護ってくれていたらアムルは壊されなかった!」って叫んだ。
言い返せなかった。死神騎士団が損害もなくアムルにまで侵入してきたっていうことは、イリュリアとの国境に居るはずの三騎士団と遭遇しなかったってことだ。よく考えればおかしい話だ。どうして三騎士団を素通り出来たのか判らない。わたしが言い淀んでいると、アンナが「まさか・・・!」って恐い顔をした。

「アイツ、わざと素通りさせたんじゃ・・・!」

最初は何を言っているのか理解できなったけど、アンナが何を言いたかったのかを理解した途端、わたしは愕然とした。アンナの言うアイツというのはきっとシュミット伯のことだ。そのシュミット伯が三騎士団に指示を出して、死神騎士団を素通りさせたって言っているんだアンナは。
シュミット伯。若くして(確か今21歳だったはず)ラキシュ領の領主となった伯爵で、2年前からわたしに求婚してきてる人だ。そんな人がこんな事をする(推測の域だけど)理由は・・・・

「信じられないけど、求婚を断り続けたわたしへの嫌がらせ・・・?」

普通に考えればあまりにも突拍
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ