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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth3そして結末への旅が始まった〜Per aspera ad astrA〜
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歩む事となった。

「遅れるなッ! アムルを護れッ!」

そう言うシュミットの本音は、アムルではなくエリーゼを救え、だった。

†††Sideエリーゼ†††

屋敷から出ると判るアムルの街の被害状況。レンガで舗装されていた綺麗な街路は見るも無残にボロボロ。街路樹に無傷な物なんてない。穴が開いている家も少なくない。
そして視界に入るのは、アムルを今まで守ってくれていた防衛騎士団のみんなの亡骸と、死神騎士団の奴らの死体で、アンナが「エリーは見ちゃダメ、死体なんか」ってわたしの目を隠そうとする。わたしは首を横に振って降り払い、「わたしはちゃんと見届けないとダメだから」と防衛騎士の亡骸の前で膝を付く。

「今までアムルを守ってくださってありがとうございました」

安らかに眠ってくれるよう祈りを捧げる。アンナもわたしに倣って片膝を付いて「安らかにお眠りください」って祈る。1人の祈りが終わってまた別の1人というふうに繰り返し祈り続ける。その最中にわたしはアンナに決意を示す。

「・・・・父様が亡くなった今、娘であるわたしがアムルを治めないといけない。だから起こること全てから目を逸らすわけにはいかなくなる」

父様の遺体は確認していないけど、

――アムルを統べるシュテルンベルク最後の人間よ――

死神騎士団の団長がそう言っていた。つまりはシュテルンベルク男爵家で生き残っているのはわたし独りだけということだ。わたしがアムルを治めるためには、父様の男爵位を受け継がないといけない。シュトゥラ王がそれを認めてくださるかどうかが最大の問題なんだけど。それでも何とかして受け継がないと。わたしはシュテルンベルクの人間なんだから。

「エリー・・・・」

祈りを終えて、わたしはまた街を足早に歩き出す。視界に入る回数が徐々に増えてきた死神騎士たちの死体。その死体には共通点がある。心臓付近に突き刺さっている槍・・・。蒼い雷や炎や氷や光、真っ黒な影のような槍に竜巻のような槍、オーディンさんの魔導だ。
それを見ていたアンナが「心臓に一撃。すごい命中率だわ・・・」って驚嘆してる。それからブツブツ呟いて考え事していて、「エリー」ってわたしを呼びかけてきた。立ち止まって振り返る。アンナは槍を見て、屋敷の方を見て、最後にわたしを見た。

「あなた、彼をどうするの?」

「どうするって? オーディンさんのこと・・・?」

「・・・ええ。今は恩を返すっていう事で味方でいてくれてる。でも死神たちを討った後、彼は街を出る。あんな恐ろしい力を持ってる彼が・・・」

随分と遠回しな言い回しに、「何が言いたいの・・・?」って訊き返す。すごく嫌な予感がする。大切なアンナからは聞きたくないようなことを言われるかもしれない、って。アンナは真っ直ぐわたしの
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