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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth3そして結末への旅が始まった〜Per aspera ad astrA〜
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る。アンナがわたしの腕を掴んで、自分の後ろに引っ張り込んだ。アンナの背中越しに見るシュミット伯は恐い。ギロッと睨んで来て、背筋が凍った。周りに居る騎士たちもその様子の変わりように混乱してる。わけが判らずに見守っていると、


「ヨーゼフ・シュミット伯爵とは、あなたのことか・・・?」


凛とした男の人の声が響いた。声のした方を見る。そこに立つ人を見て絶句。最初は信じられなかった。幻かと思った。でも歩いてこっちに来てる。本物だ・・・本物の・・・

「クラウス・G・S・イングヴァルト殿下・・・!」

目を逸らせない。まさかクラウス殿下をお目に掛ける日が来るなんて。激昂していたアンナですらも身動きひとつしないで殿下を見詰めている。シュミット伯も黙り込んで身震いしていて、騎士たちは片膝をついて礼の姿勢を取る。

「聞こえなかったのかい? あなたがヨーゼフ・シュミット伯爵か?」

「そ、そうです・・・。で、殿下、なぜラキシュ領に・・・?」

シュミット伯が殿下の問いに答えた途端、殿下の表情が険しいものになった。

「あなたを拘束するため、と言っておこうか。容疑はイリュリアへの情報漏えい。その結果、どういうことになったのか・・・判るだろう?」

殿下は何を言って・・・?

「やっぱり・・・私の推測が当たってた・・・?」

アンナから放たれる強烈な魔力流。そして殺意。推測。シュミット伯が三騎士団に指示を出して、死神騎士団を素通りさせたっていう。嘘・・・そんなの・・・。今回の死神騎士団の侵攻が・・・シュミット伯に仕組まれた?

「は、はは、はははは。殿下、一体何を――っ!」

殿下の率いていた近衛騎士が一人の男の人を連行してきた。知っている人だった。だって、わたしが憧れて師事していた医者なんだから。

「カール、先生・・・」

カール・アーレンス、その人だった。どうして拘束されているのか判らない。
殿下は話を続ける。カール先生がシュミット伯の命令で、イリュリアに居る軍事医師に情報を流した。今日この日、たった数時間の間だけ国境から三騎士団が居なくなるっていう。その情報の下、死神騎士団はラキシュ領に侵攻してきた。完全支配の足がかりとしてまずはアムル。そのアムルを統治するフォン・シュテルンベルクの人間の殺害。

「すまない、エリーゼ君」

カール先生は跪いて額を地面に何度もぶつけながら謝る。もう判らない。何を信じていいのか、全然判らないよ。今自分が立っている場所が揺らいで崩れていく感覚。

「き、貴様ぁぁーーーーッ!!」

アンナがシュミット伯を全力で殴り飛ばした。上手く思考が働かない。混乱の極みってやつなんだと思う。でも徐々にひとつだけ確かなモノが浮かび上がってくる。怒りだ。

「どうして自分
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