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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth3そして結末への旅が始まった〜Per aspera ad astrA〜
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誠に申し訳ない。僕が浅はかだった・・・」
「っ!・・・全部・・・全部あんたが・・・あんたの所為でアムルはッ!」
わたしが止める間もなく、アンナの放った拳は真っ直ぐシュミット伯の頬を打った。それを見た騎士たちが武器を構えて「無礼な!」「分を弁えよ小娘!」「覚悟は出来ているだろうな!」と怒声を上げる。
血の気が一気に引く。すぐに謝ろうとした時、シュミット伯が「よせっ。悪いのは僕だ」って騎士たちを制した。命令に従って騎士たちが引き下がる。わたしは「寿命が縮まるかと思ったでしょっ!」とアンナを叱る。
「・・・エリーゼ。君も僕を殴るくらいの権利がある」
わたしを見詰めるシュミット伯は両手を後ろで組んでジッと待つ。仕方がない。その一言で済むような事件じゃないのは確か。父を失い、民も少なからず失った。悲しみもある。怒りも・・・ある・・・。わたしは右手を振りかぶり、シュミット伯の頬を叩いた。
「・・・・もし叩かれずに許されていたら僕は、僕自身を許せずにどうにかなっていた」
シュミット伯は安心したように苦笑いを浮かべた。そして、
「こんな時になんだけど、エリーゼ、僕と結婚してくれ。そして共にラキシュで暮らそう」
「・・・・え?」
「何を言い出すのかと思えば、結婚してくれ? 共に暮らそう? 冗談も大概にしてよ・・・!」
「冗談なんかじゃないよ。アムルはイリュリアとの国境近くの街で、これからは常に危険と隣り合わせになる。でも領内奥にあるラキシュ本都なら、もうこんな惨劇は起きない。だから・・・アムルの民と共に移ろう」
わたしに手を差し伸べるシュミット伯。アンナは「駄目よエリー」って止めてくる。答えは考えるまでもなくずっと前から決まってる。ジッとシュミット伯の目を見る。
「ありがとうございます、シュミット伯。ですが以前から申し上げている通り、わたしには夢があります。まぁその夢も恐らく今日で終わりを迎えますけど。ですが新たな夢が出来るんです。このアムルの街を必ず復興させ、イリュリアからの侵攻にも負けない街に成長させる。ですからあなたの求婚には応えられません。ごめんなさい、こんなわたしを好きになって頂いて、光栄に思います」
頭を下げる。わたしのような小娘を目にかけてくれて本当は嬉しい。でも応えられない。わたしはエリーゼ・フォン・シュテルンベルクだから。シュミット伯から何の返事もないから頭を上げようとして、耳に届く小さな小さな声。
「どうしてダメなんだ・・どうして判ってくれないんだ・・どうして僕のモノにならないんだ・・どうして、どうして、どうして・・・どうして僕の思い通りにいかないんだ!?」
「シュミット伯・・・!?」
「ちょっ、いきなり何!?」
シュミット伯が髪を掻き毟って唸り声を上げ
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