暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth3そして結末への旅が始まった〜Per aspera ad astrA〜
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リー、そこまでしなくてももう戦いは終わる!」
「でも万が一があるからっ。オーディンさんっ!」
「離れているんだエリーゼっ、巻き込まれたいのかっ!」
オーディンさんが遠ざかる。それだとクス・デア・ヒルフェが使えない。
乙女の祝福
(
クス・デア・ヒルフェ
)
。それはわたしの――正確にはフォン・シュテルンベルクの女性にのみ発現する能力で、
口づけ
(
クス
)
することで自分の魔力を相手に供給できるというものだ。
クスとは言っても絶対に唇と唇じゃないとダメというわけじゃない。相手の地肌に唇が触れさえすれば。だからオーディンさんの手の甲にでもいいからクス・デア・ヒルフェを使えば、オーディンさんは魔導を使えるはず。そう思ったのに、声をかけたら余計に離れていってしまった。
それから、オーディンさんはたびたび危ないところもあったけど、シュミット伯とアギトのおかげで何とか乗り切った。死神騎士団の脅威もようやく去って、わたし達が一息吐いていたところに、
「報告します。アムルに居たマサーカー・オルデンの全滅を確認しました」
「報告します。マサーカー・オルデンに拉致されていたアムルの民を発見、救出することに成功しました」
「報告します。拉致を逃れ隠れていた者たちを保護しました」
次々とシュミット伯の元に報告してくる騎士たち。その内容はあまりにも嬉しいモノで。だから知らずわたしは涙を流していた。そこにオーディンさんが来た。視界で滲んでいるけど判る。オーディンさんの表情が悲しみに歪んでいるのが。
「・・・エリーゼ。君のお父上から最期の言葉を承っている」
「え・・・?」
訊き返してしまった。だって父様はオーディンさんが来る前にもう殺されていて・・・。アンナが「嘘を言わないで!」って怒鳴る。それを「アンナ待って!」と制する。袖で涙を拭って、しっかりとオーディンさんの顔を見て「聞かせてください」と促す。
「・・・ずっと愛している、と」
「・・・っく・・・うぅ・・・とう、さ・・ひぅ・・父・・・さまぁ・・・父様ぁ・・・!」
「エリー・・・エリー・・・!」
声が出るのを抑えられない。しっかりしないとダメなのに。アンナがわたしを抱きしめて一緒に泣いてくれる。それで限界だった。もう人の目とか気にすることもなく、自然に泣き止むまでわんわん泣いた。
そこからどれくらい泣いたんだろう。街がもう夕陽に染まってしまってる。
シュミット伯の指揮の下、三騎士団が街の状況――正確な被害や修復までの時間などを調査して報告し合っているのを聞く。最終報告は、アムル防衛騎士は全滅、住民からも48人の死者、壊された家屋やお店は多数。たった数時間で変わり果ててしまった。途方に暮れていると、シュミット伯が歩み寄ってきた。
「エリーゼ。今回の事は
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