暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth1ベルカに立つ魔術師〜Advent, Ancient MagE〜
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オーディンさんのお世話を任せておいてなんだけど、ルファはともかくモニカって騒がしいから、迷惑をかけないか心配)

でももうわたしは別宅から本宅への道を、愛馬レミントンで駆けてるし、すでに手遅れ。心配するんなら迷惑をかけないようにちゃんと言っておくんだった。

(オーディンさん、かぁ。歳はいくつだろ? わたしよりかは歳上だよねやっぱり・・・)

オーディンさんの微笑を思い出す。すごく綺麗で、けどどこか寂しそうな・・・。それにまさか記憶喪失だなんて。どうにかして取り戻させたいなぁ。見習いとはいえカール先生の助手を名乗っている以上(自称だけど)は、患者さんの問題は解決してあげたい。

「エリーゼお嬢様。もう本宅の方へ戻られては? 旦那様も望んでいらっしゃいます」

後ろをついてくる侍従のアンナ。歳はわたしより2つ上の17歳。主従の関係じゃなくて、わたしは姉妹のような関係だって思ってる。普段なら敬語とか無しで話すんだけど、父様と同じようにちょっと喧嘩中だから、こんなにギクシャクしてる。そもそもわたしの事を考えてくれるなら、わたしの味方をしてくれてもいいのに。

「嫌。帰ったら望んでもない結婚をさせられるに決まってる。それが判ってるのに帰るなんて愚行。わたしはカール先生の医療魔法を学んで、すっごい医者になるって決めてるの。嫁ぐなんて、鳥籠に飼われた鳥のようなものじゃない。そんな自由のない生き方は絶対に嫌」

という風に父様と衝突して、わたしはこのアムルの長をしている父様の居る本邸から出た。アムルの郊外にある空家となっていた別宅へ、カール先生の医療魔法を学ぶ同じ見習い仲間と一緒に住むことにした。暮らしはぐっと貧しくなったけど、結婚させられるよりは遥かにマシ。そんな感じで家出中なわたしは、アムルで一際大きい屋敷に到着。一年前まで過ごしていた我が家。塀に囲まれた屋敷を見上げる。

「お帰りなさいませ、エリーゼお嬢様」

正門も潜ると、門から屋敷の玄関までの道の両側にズラッと並ぶ(と言っても10人位)侍従たちのリーダー、侍従長がわたしに向かって一礼。遅れて他の侍従が「お帰りなさいませ、エリーゼお嬢様」って続く。わたしは「ただいま」って返しながら歩いて、玄関のドアノブに手を掛けようとして、

「私の役目です。お帰りなさいませ」

アンナと別の侍従が両扉を開けて、わたしの道を作る。気が重い。屋敷の中の空気がわたしの心に重く圧し掛かる。貴族に生まれたくなかった。お金があるから幸せ? 違う。お金があっても自由が無いなら幸せじゃない。

(根性を見せて、今度こそ分からず屋の父様に医者になることを許してもらおう)

頬をパチンと叩く。わたしは道具じゃなくて一人の人間だ。それを判らせてやる。エントランスに入って廊下を歩き、当主の部屋の前ま
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