暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth1ベルカに立つ魔術師〜Advent, Ancient MagE〜
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理はせずに動かない方が賢明だな。あと何か白い物体が目の前から足元へと過ぎってどこかへ飛んでいったが、この体勢では見えないな。しかし体が動かないため何が飛んでいったのかを確認するのを諦め、深呼吸を何度かゆっくりと繰り返すうちに、ようやく痛みが和らいだ。
とりあえずは状況確認だ。私が居るのは寝室らしい部屋で、さほど大きくない。内装も質素。ベッド脇のナイトテーブルには木製の円いトレイがあり、上には水の入ったガラス製の水差しと伏せられたコップ。ナイトテーブルの反対側のベッド脇には本棚。頭だけを動かして、蔵書のタイトルを見る。
「Schw?rzen Sie Prinzessin(あの文字は・・・レーベンヴェルト語・・・?)」
大戦末期にヨツンヘイム連合に組み込まれた“複数世界ミッドガルド”を構成する世界の一つ、騎士世界レーベンヴェルトの言語のように見える。以前の契約で訪れた地球という世界で言えばドイツ語だ。
そうであるならここはレーベンヴェルトで、時代は堕天使戦争、私たちアンスールが全滅してからさほど時間が経っていない頃ということになる。しかし、そんな都合良くアンスール終焉の時代に近い世界に“エグリゴリ”が現れてくれるのか? いや、そんなに深く考える必要はない。“エグリゴリ”がこの世界のこの時代に居る。
「それだけで十分だ」
「・・・あっ、起きてる! よかったぁ・・・!」
ガチャっと木製の扉を開けて入ってきた少女。歳は10代半ばくらいだろう。茶色い長髪はポニーテール。活発そうな青い双眸。ゆったりとした水色のロングワンピースを着ている。そして両手にはタオルの掛かった洗面器。
「もう起きないのかと思っちゃったけど、本当に良かったですよ。それで、その、大怪我をして山の中に倒れていたんですけど・・・憶えて・・・いますか?」
私が山の中で倒れていた? どういうことだ。それ以前に私はなぜ無事なんだ。大切な思い出を失って、それがあまりにも辛すぎて、今までこの身に刻んできた苦痛や絶望以上で、狂いそうだった。だから“エグリゴリ”の攻撃に対処は出来なかったはずなんだ。
「えっと、聞こえてますかぁ?」
(あの時なにが・・・?)
うっすらと思い出す。絶叫の中、私は“エグリゴリ”の攻撃を一斉に受けてボロボロになったあと、トドメとしてガーデンベルグが迫ってきていた時・・・・
――危ないルシリオン様!――
「そうか!」
「ひゃうっ?」
思い出した。涙で滲む視界の中で見えた、桃花色の外套を羽織ったマリアの姿を。そうだよな。私がこの世界に居られるのは、マリアが召喚してくれたからだ。まったく。自分は契約を抱えていて大変だろうに。わざわざ助けに来るとは。
だが、ありがとう、だ。マリア、君のおかげで私は消滅させられるこ
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