第五十四話 思春期G
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「とりあえず、みんなといっぱいお話をしたよ。危なくなくて、法を犯さなくて、魔法が使えるようになるにはどうしたらいいのかって。今の私を捨てずに、できる方法をたくさん相談し合ったんだ。みんな調べてくれたり、専門家に話を聞いてくれたり、すごく心強かった」
「……そういえば、アルヴィンが司書の勉強を本格的に始めたのも、そのあたりだったっか」
「お兄ちゃんは、他にも色々理由やメリットがあるって言っていたけど、そうかもしれないね…」
思えば、あの時から少しずつ変わっていたのだろう。あの大喧嘩は確かに、辛い思いを、悲しい思いをたくさんした。だがそれと同じぐらい、またはそれ以上に、得られたものはとても大きかった。
「……みんなで考えて、話し合って、それで決めたんだ。すっごく大変で、時間もかかって、努力をしなくちゃならないことだけど、私はこの方法を選ぼうと思ったの。私の……大切な将来の夢になったんだ」
「アリシアの夢?」
「うん、私ね。医療の道を目指すことにしたの。リンカーコアの研究がまだまだ未発達だって言うのなら、私が発展させてみせるんだって思ったんだ」
「じ、自分で研究を!?」
魔法を使うために、そこまで頑張るのか。確かに現在のリンカーコアの技術は、発展途上の段階だ。アリシアのリンカーコアを安全に治療できる下地ができあがっていない。だったら、自分で作ったらいいじゃない! という前向きすぎる発想に、さすがに驚いた。
「えへへ、まぁ……その、すごーく自分本位なのはわかっているんだ。お母さんにも、本当に将来をそれに決めてしまっていいのかって言われて、またすっごく悩んだよ。でもね、私はせっかく頑張るのなら、自分の手で掴みたいって思ったの」
「自分の手で…」
「うん、みんなと一緒にこの手で。……もちろん、それでも叶わないかもしれない。だけどね、それでもいいと思うの。だって私、すっごく頑張るもん。いっぱい研究もするの。そうしたら、私と同じように悩んでいた人を笑顔にできるかもしれない。私の研究したことが、誰かの笑顔に繋がってくれるかもしれない。それってね、素敵なことだと思うんだ」
その夢を叶えるために、きっとたくさんの人の助けが必要だろう。家族を巻き込み、知り合いを巻き込むかもしれない。それでも、頑張りたいと思った夢。アリシアの表情は晴れやかで、太陽のような笑顔が輝いた。
「私があの時もらった受け売りの言葉だけど、私を支えてくれる人たちを、私もいっぱい支えられるようになりたいって決めたんだ。だから……さぁ、ティオ君! この頼れるお姉ちゃんが、どーんと相談にのってあげるから、どこからでもかかってきなさい!」
「そういう話の転換の仕方は、アルヴィンそっくりだよね!?」
えっ、そう? と自覚なく首をかしげるアリシアに、テ
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