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少女1人>リリカルマジカル
第五十四話 思春期G
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両成敗だからな。もちろん、……ずるい云々も含めて」

 にやっ、と今日一番の笑顔を見せた兄を見て、ようやくしてやられたことにアリシアは気付いた。ずっと謝ろうと思っていたことが、できなくなったのだ。終わった喧嘩を蒸し返すほど、アリシアは空気を読めないわけではない。だが、これでは兄だけに一方的に謝罪を受け取るかたちになってしまう。

「ずるい、の謝罪は受け取らない。俺が力を持っていることは本当だし、これからも俺は遠慮なく力を使っていく。それに嫉妬されても、妬まれても、恨まれても……それを俺は受け止める。ちゃんと前を向いて、頑張るって決めたんだ」

 アリシアの言葉は、確かに痛かった。自業自得だろうと、なんだろうと、本当に苦しかった。転生者は、この世界の人間にはなれないのだと言われたようで。どこまでいっても、自分はイレギュラーで、異物でしかないのだと改めて思い知らされた。

『まぁ、てめぇ程度なら、例えどんな貰い物をしていようが、俺が踏み台にできそうだけどな』

 だが、そんな異物であるはずの己を受け入れてくれる人がいた。アルヴィンという、1人の人間と対等にいてやる、と不敵に笑ってくれた友人がいてくれる。その言葉が、1人ぼっちにならなくていいのだと思えたのだ。持つものとして、ちゃんと強くなっていきたい、と思えた。

「俺は、俺の持つ力を大切にしていく。大事な人を守れるように、笑わせてあげられるように、そんな風にこの力を使っていきたい。……そうなれるように、目指していきたい」

 大魔導師になってやる、というほどの志はない。正義の味方のように、万人を救うような仁義はない。物語の主人公のように、命を懸けるほどの信念はない。それでも、1人の人間として、胸を張って生きていけるような人になろうと思った。


「そうだな。だから、アリシアがどうしても謝りたいのなら、もっと別のごめんなさいが聞きたいかな」
「……別の?」
「そうそう。あっ、そういえばさっき話していた、デバイスとか魔導具とかロストロギアのことだけどさー」

 ぽんぽんと話がとぶアルヴィンに、アリシアは思わず笑ってしまった。話の内容が2転3転するのが、彼のいつも通りだったからだ。そんな会話が、不思議と安心した。

 彼は突拍子のないことをいきなり始めて、相手にペースを持って行かせない。盛大に翻弄してくるのだ。それでもアルヴィンの言葉を待ってしまうのは、彼なりの筋が必ず1本通っていたからだった。

「アリシアが魔法を使いたいのなら、俺が探してきてやる。諦めるのは、それからでも遅くないだろ? 俺が持つ全ての力を使って、見つけ出してきてやるさ」
「本当に……?」
「おぉ、本当に」

 なんでもないように、アルヴィンは笑ってみせた。膨大な時間とお金と労力、それ以外に
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