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少女1人>リリカルマジカル
第五十四話 思春期G
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ルとか、手先の器用さを受け継いでいるじゃねぇかッ! 俺なんて将来、料理ができる嫁さんを見つけられないと、餓死する自信があるぞッ!!」
「そこは頑張って生きようよ! お兄ちゃんはレアスキルが使えて、遅刻はしないし、便利だし、普通に羨ましいよ!」
「アリシアは、テスタロッサ家のヒエラルキー第2位じゃねぇか! なんでペットのはずの猫より、俺の方が立場が下なんだよ、おかしいだろ! 俺は長男なんだから、発言権をもっとくれやァ!」
「お兄ちゃん、お母さんにいつも頼られているんだよっ! 私、すっごく羨ましいんだから!」
「羨ましいんだったら、アリシアのおしゃれの技術とかセンスとかを、俺だってほしいんだよっ!」
「私だって、早起きができる技術がほしいよっ!」

 わー、きゃー、言い返し合う兄妹に、これって喧嘩? とウィンクルムは首をかしげる。プレシアは2人の喧嘩に遠い目をしながら、末っ子の気を逸らすことにした。リニスとブーフは実況をしながら、観戦モードへと移行した。エルヴィオは久しぶりにあった妻とぽつぽつと会話をし、コーラルはそれを少しいじりながら静観する。すごい温度差だった。

 完全に相手の自慢を言い合うだけの兄妹を、誰も止めることなく放置した。確かに本人たちは、とても真剣に喧嘩をしている。だけど、実害がないのならいっか、と結論が出てしまったことに、一体誰が責められようか。喧嘩の内容は徐々に、身長から髪のはね具合、給食のおかわりの数へと移っていく。とりあえず、ものすごく色々大人げなかった。


「な、なかなか…やるじゃねぇか。この俺に、ここまでついてくる、なんて……さすがは、我が妹」
「え、えっへん」
『なんの勝負をしているのですか』

 途切れることなく言い返し合っていた喧嘩は、お互いの息が切れるまで続いた。2人は息切れでダウンするまで口論し、現在咳き込んだり、喉の痛みにやられていた。安全地帯にいたプレシアが、2人のために自販機からジュースを買って、そっと置いておいてあげた。もう何もかもが、ぐだぐだだった。

「はぁ、すげぇーしゃべったぁ。……なぁ、アリシア。このままじゃ決着は尽きそうにないし、喧嘩両成敗ってことで、お互いに納得しないか」
「……そうだね」

 肩で息をしながら、アリシアはアルヴィンの提案に同意する。彼女としては、もう全て出し尽くしたようなものだ。お互い様としてここで終われることに、むしろ安堵した。アリシアの言葉に、アルヴィンはうなずく。頬に流れた汗を拭き取り、それから大きく息を吸い込んで、ゆっくりと呼吸を整えた。


「アリシア、病室では怒鳴り声をあげてしまって、ごめんな」

 そして、先ほどまでとは違った落ち着いた声音が、アリシアへと届いた。

「えっ、あっ……」
「先に言っておくけど、喧嘩
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