水の巫女の再来・前編
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てくれっ」
「大丈夫………たぶん、眠っただけだから。───さぁ、もう用は済んだろう? 出口は………ほら、そこにあるから、もうお帰り」
赤魔道士が静かにそう云うと、来た時と同じように次元の裂け目のような、黒く渦巻く空間が出来ている。
「用は済んだって……あたし達、別に何も……?」
「そう、だよね。ルーネスがクラーケンみたいな奴に斬りかかった以外は────」
困惑したようなオレンジ髪の少女と、茶色い髪の少年。
「"彼女の"────という事だろう」
銀髪の少年に支えられた、仰向けに気を失っている彼女へ一瞥を向ける金髪の青年。
「そうなるのかな。さぁ………こんな所に長く留まると、正常な時の流れから切り離されてしまうよ。────もうお行き」
何故か、どこか寂しげに、哀しげにそう告げる白銀の長髪の紅い瞳の赤魔道士。
「もうひとつだけ、聴かせてほしい。貴方は、彼女の事を──── 」
「ごめん、私には答えてあげられない」
「 …………… 」
それ以上問い質さない青年。
「あんた………もう夢に出てくんなよっ!」
「うん………、そう願いたいね。────それじゃあ、ね」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「風のクリスタルが教えてくれた………、あなた達のこと」
翌日、サスーン城の客室のベッドにて意識を戻した彼女の第一声に、その場の者は皆驚く。
「エリア……!? 記憶、戻ったんだなっ!!」
「───ちがう、教えてもらっただけ。あなたは………ルーネス。あなたは………アルクゥ。あなたは………レフィア。あなたは………イングズ。かつての、光の戦士たち」
────その蒼い瞳と表情はまだ虚ろではあるが、4人を順に見つめて名を述べる彼女。
「よ、喜んでいいのかよく分からないけど……結局あれって、何だったんだろう??」
「あの赤魔道士の………彼? も気になるわねぇ。いったい"どっち"なのかしらっ」
「ふむ………無事に戻って来れたとはいえ、彼女は特に記憶を戻した訳でもない、か」
「うぅっ、エリア………何とか元気にしてやれねーかなぁ?」
「 ひ 」
4人それぞれ思いを巡らせていると、ふと彼女が口を開く。
「つぎ、火のクリスタル。───わたしを、呼んでるの」
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