水の巫女の再来・前編
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のだろうか」
短めの金髪の青年が問い掛ける。
「見ての通り、魂の集う場所………かな。と云ってもここは移ろい易いから、長く留まれないみたいだけれど」
「あんた────なのか」
銀髪の少年がアメジスト色の瞳で、キッとこちらを睨みきかす。
「あんたなのか。おれの夢の中で、エリアを刺したのは………!」
「 ────あぁ、そうか、君は────うん、そうかもね。"私"かもしれない」
「どういうつもりだよ! せっかく、変えられるかもしれないのに……!」
「何を、かな。夢の中で何度も彼女を救った所で、本当の彼女は救えはしないよ。彼女も………それを望んではいない」
「分かったような事云うなっ!」
赤魔道士に詰め寄る少年。
「そうだね、私には何もわからない。知っているけど、知らないんだ。君だって………そうじゃないかな」
「わけ分かんない事云ってんじゃねーよ!! うわっ………?!」
少年が赤魔道士を突き飛ばそうと手を伸ばすが、その手は彼をすり抜ける。
「 ────すまないね、私は今実体を持たないんだ。君から触れる事は、できないよ」
間近でにこりと笑い掛ける赤魔道士。
「実体を持たないって……あなた、ユーレイ?!」
「ひ、人魂化してないだけって事ですか…!?」
オレンジ髪の少女と茶色の髪の少年が、こちらを凝視したまま驚いている。
「う〜ん、そうなるのかなぁ」
赤魔道士は首を傾げて可笑しそうにしている。
「ふ、ふざけやがって……!」
「ルーネス、戯れに付き合っている場合か。……見つけなくていいのか、彼女を」
冷静な青年が、銀髪の少年に声を掛ける。
「そ、そうだ! エリアは、どこに……っ」
「ほら、あそこだよ。……大きなイカさんと、向き合ってるね」
赤魔道士の妙な云い草に目を向けた先には─────
あの当時のままのクラーケンが、儚げなエリアの姿と向かい合い、今にもその気持ち悪い触手で彼女を絡め取ろうとしている─────
「………!! やめろーーっ!!?」
少年は思わず身に帯びていた兵士の剣でクラーケンに斬りかかる。
────が、手応えもなしに雲散霧消する。
「 は ……っ?? 」
後に残ったのは、蒼く透き通る石の欠片のような物で、エリアらしき彼女は先程の事など意に介した風もなく、それを拾いあげる。
「────みつけた、わたしの────」
大事そうに両手に持って、胸の内にそれを収めると………彼女はふと倒れ掛かり、銀髪の少年が慌てて支える。
「え……エリア? エリア……!しっかりし
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