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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十話 皇帝の地位
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ょうか』
レムシャイド伯がこちらを見ている。頷くと居住まいを正して話し始めた。
『帝国と同盟が百五十年に亘って戦争をしてきた原因の一つが共に相手を認めぬという事に有ると私は思っております』
「うむ」
『帝国は同盟を反徒と蔑み同盟は帝国を簒奪者と罵りました。百五十年です、両国にはそれがこびり付いております。ご不興を被る事を覚悟の上で申し上げます。これを払拭するには余程の覚悟が必要でありましょう。その覚悟が無ければいずれ両国は再び戦争への道を歩む事になると私は思っております』
「……」
『こちらにとってリスクが大きいと御考えかもしれません。しかし同盟側にとってもリスクは大きいと思います。簒奪者として罵ってきた相手を国家元首として認める事になるのです。帝国を国家として認めることになるのです。ヴァレンシュタインは両国が相手を対等の相手と認められなければ、受け入れられなければ、和平は難しいと考えています』
レムシャイド伯がこちらを見ている。視線を逸らそうとはしない。なるほど、覚悟か。この男はその覚悟を持っている様だ。トリューニヒト議長もその覚悟を決めている。後は我らにその覚悟が有るかだな。
「……卿はヴァレンシュタインからの提案を受け入れろというのだな」
『はっ、畏れ多い事ではありますが』
「ブラウンシュバイク公……」
「リッテンハイム侯、已むを得ぬな。……レムシャイド伯、調印は皇帝陛下が行う。そう同盟側に伝えてくれ」
『はっ、確と伝えます』
その後、二、三の確認をして通信が終わった。
「リッテンハイム侯、イゼルローンにはわしと皇帝陛下で行く。侯にはオーディンで留守を頼む」
「承知した、エリザベートは如何する、連れて行くのかな?」
そうか、エリザベートの件が有ったな。
「……今後の事も有る、連れて行こうと思う」
「分かった。では陛下の下に行こうか。私も事情を説明する」
驚いて侯を見ると軽く苦笑をしていた。
「公だけに押し付けはせんよ」
「済まんな」
宇宙歴 796年 4月 3日 ハイネセン 最高評議会ビル ミハマ・サアヤ
「組織作り、外枠だけと言ってもなあ」
「難しいですよね」
「総務、人事、財務、広報は問題ないよね、他の委員会にも有るんだし」
「その辺りの組織は他の委員会の組織図を丸々コピーで良いんじゃないの。問題は外務委員会、通商委員会独自の組織よ。何が必要かしら」
彼方此方から溜息が出ました。
私達、最高評議会諮問委員会のメンバーは委員長のヴァレンシュタイン大将を除いて諮問委員会の執務室に集まっています。円卓のテーブルに十一人が座っていますがこのテーブル、最高評議会で使っているものと同じだそうです。それを聞いた時には皆が“ゲッ”と言いそうな表情をしま
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