志乃「早く寝たい……」
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熱っぽいから、志乃は先に上がらせてもらう」
「えー?マジで?そりゃ寝た方が良いな」
健一郎がこっちを向いてそう言ってくる。そのわりにコントローラーを動かす手は止まっていないのだから、こいつは実力者なのだろう。知らなかった。
「ホントに?ごめんね志乃ちゃん、付きあわせっちゃって」
「え?ちょっと……」
「じゃ、そういう事だから。俺志乃二階に連れて行くからゲームやってて」
「「りょーかい」」
二人はそう声を合わせそう言い、それ以降はゲームに集中し始めた。こいつらマジでキチガイすぎる……。
俺は志乃の手を掴んで歩かせる。志乃は眠気が原因なのか、ふらふらとした足取りだ。
しょうがないので、俺は志乃をおんぶする。あのまま歩かせて階段に足ぶつけてもらっても困るしな。
「……兄貴、何考えてんの?」
「お前が眠たそうにしてるから寝かせてやるんだよ。もしかしてゲームまだやりたかった?」
「いや、そういうわけじゃないけど。でも、その……」
いつもの志乃より歯切れが悪いな。やっぱり無理してたんだな。ま、俺だって眠いわけだし、仕方ないよな。
志乃の部屋に入って、おんぶしていた志乃を布団に寝かせる。まだ顔赤いな、熱測らせるか?
「兄貴、出てって」
「いや、熱測った方がいいだろ」
「いいから」
今度は強めに言ってくる。おいおい、せっかく連れてきてやったのにそれは無いだろ。
まぁ、年頃の女の子だからしょうがないかな。他の友達の妹とかに比べりゃ可愛い方だよ。
「分かった。俺は戻るけど、何かあったら携帯で呼べよ」
「それは無いと思う」
無いのかよ!
「んじゃ、お休み」
「……」
無言で返してきた。ま、いつもの妹だな。
そう思って俺が部屋を出てドアを閉めようとした時、
「……ありがとう」
志乃がそう言った気がした。気のせい、とは思いたくないな。
なにせ、生意気な妹が数年ぶりにお礼を言ってきたかもしれないんだからな。
****
俺がリビングに戻ってきた時、二人は目を血走らせながらゲームに臨んでいた。ホント、何なのこいつら。
だが、そんな二人をゲームから離れさせる方法を俺は知っている。そしてそれは、俺だけが出来る事だ。並大抵の人間には不可能だろう。
俺は不敵に笑い、リビングにある俺のコーヒーを一気飲みする。コーヒーの苦みが口内に染み渡り、再び俺の脳内を蝕んでいた睡魔を追い出してくれる。
そして、テレビ画面に目を向けている対戦相手に向かって高らかに宣言する。
「お前ら!この世界ランク二十位の俺が駆逐してやるよ!」
決
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