志乃「兄貴、喉壊したら殺すから」
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一人は三村健一郎。坊主が特徴の野球少年だ。
そして、現在志乃の風呂場に侵入していったもう一人が林葉綾乃。二人は俺の幼馴染で、志乃も幼稚園の頃から面識がある。
綾乃は昔から志乃を溺愛しており、今になってもそれは健在である。そのため、俺が「今志乃が風呂入ってるよ」と言えば、すっ飛んで来るのだ。ある意味ストーカーより怖い。
何より、綾乃は体育会系でスタイルが良い。引き締まっているところは引き締まっていて、出っ張っているところはツンとしている。それに加えてなかなか美形な顔をしているのでモテるのだ。
インドア派の志乃からして見れば、そのスタイルは憧れるものであり、同時に自分に嫌悪感を抱くものである。きっと今、あいつは綾乃に翻弄されると同時に相手の体つきと自分の差に落ち込んでいる事だろう。
まぁ、俺をバカにしている罰だ。これぐらいの事があっても良いだろ。
やがて、風呂から出たのか二人の声が聞こえなくなる。もう一階に行っても大丈夫かな。
「ちょっと一階行ってくる。さすがに全裸で歩いてはいないだろ」
「いや、止めとけ。綾乃の奴はその危険性がある」
「……マジで?」
そうなると俺は太刀打ち出来なくなる。なにせ綾乃は、合気道三段の実力者だからだ。竹刀を持たない俺が対処するなど不可能に等しい。
そのため、俺は少し自室で待機する事にした。その時、俺はいきなり咳込んだ。何かが喉で詰まっているような感覚。よくあるアレだ。
「もしかして風邪引いた?」
健一郎の言葉に、それあるかもな、と心中で呟く。なにせ、水も飲まずにカラオケボックスであれだけ声を出したのだ。その上、帰り道にやや冷たい風に当たって来たのだ。ラーメンを食べた時には感じなかったイガイガが今はあった。
だが、あえてそれを否定しておく。
「大丈夫、花粉症で喉辺りが痒いだけだから」
ここで風邪と認めて志乃にでも知られたら、どうなったもんか分からない。ここはポジティブに行くべきだ。
それから数分後、一階から綾乃の声が聞こえる。
「伊月ー、出たよー」
「あいよー」
そう綾乃に返して、健一郎を促して一階に足を進める。一階でゲームでもやろうという話になっているのだ。
そうして、俺と健一郎がリビングへ向かった時、そこには風呂上がりの少女達の姿があった。
ドライヤーで髪を乾かしてもらっているのが志乃。その顔はむすっとしていて、俺と目が合うと睨んでくる。俺はそれを綺麗に躱すが。
綾乃は志乃の髪をドライヤーで乾かしながら、笑みを浮かべている。
「志乃ちゃんって何でこんなに色白なの?なんか塗ってたりする?」
「……何も塗ってない。綾乃こそ何でそん
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