志乃「兄貴、喉壊したら殺すから」
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ぼっちにはなってないから」
「……」
何故か志乃が俺を哀れな目で見ている。何故だ、何故俺をそんな目で見る!
「……さすがにそんな酷い事は言わない」
「ええっ!?何でいきなりキャラ変えんの?俺が今どれだけ考えたか分かってんの?」
「兄貴めんどい」
「めんどいのはお前だ!」
何で俺が妹とコントみたいな事しないといけないんだよ。この間何年ぶりかにマトモに話したかと思えば、もうこのザマだ。あり得ないだろ普通。
志乃は首に掛けているヘッドフォンを耳に当て、ミュージックプレイヤーを取り出して曲を聴き始める。これ以上俺と会話する気が無いらしい。おのれ……舐めやがって。
「そうか、お前がそういう手を使うんだったら俺にも秘策がある。後悔しても知らないからな」
聞こえたかは分からないが、そう言って俺はリビングを出て、自室へと向かう。目指すは自室にある携帯。これこそが、我が妹を奈落の底へと突き落とす凶器。これさえあれば俺は勝利する。
自室に辿り着き、携帯を見る。そこで新着メールが入っている事に気付く。それは志乃からだった。
『お風呂入るから一回に降りてこないで』
おいおい。いつもお前が入ってる時、俺一回にいるじゃん。これじゃ俺に入ってくれって言ってるようなもんだろ。
だが、俺はそこで意地を張って一回に降りたりはしない。もう作戦は始まっているのだ。
携帯で一人の幼馴染に連絡を取る。相手が通話に出た時、俺は一人ニヤリと笑っていた。
生意気な妹に目にもの見せてやろうとする小物な兄が、ここにはいた。
*****
「ひゃああああ!ちょっと何でいるの!?」
「そんな事はどうでもいいの!ほら、私が洗ってあげるから!」
「自分でやるから!早く出てってよ!」
そんな声が浴室から聞こえてくる。どうやら上手くいっているようだ。
自室で携帯ゲームをやりながら、再びニヤリ。我ながら最悪な兄だ。後で志乃にどんな顔をされる事やら。
隣では、先程別れたばかりの健一郎が呆れた顔をこちらに向けている。
「お前……つくづく容赦無いな」
「俺だってこんな真似はしたくない。けど、たまには志乃にも現実を見てもらわないとな」
「いやいや、だからって綾乃を行かせるのは志乃ちゃんには苦痛だろ」
「……それは言える」
二階からでも志乃の悲鳴や幼馴染の楽しそうな声が聞こえてくる。戸締りはしてあるが、もしかしたら外にも聞こえているかもしれない。まぁ、聞いてるような変態がいたら竹刀でぶっ叩くけど。
今、俺は先程志乃に言おうとした案を実行させていた。簡単に言うと、俺と志乃の共通の知人に遊びに来てもらっていた。
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