志乃「兄貴、情けないよ」
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を狙ってたんだろう。少しご同行願おうか」
「ちょっと待って下さい!そりゃいくらなんでもおかしい!俺とこいつは兄妹です!」
「……妹に手を出そうとしていたのか。それなら余計来てもらわなくてはならんな」
やべぇ、このおっちゃんから怒気みたいなもんが溢れてる……。刺激させちまったか?
「そんなわけないでしょう!俺はいつも黒のジャージを着てて、花粉症だからマスク付けてて……妹は普段着が体操服なんです!それで、今はこいつに人生の摂理というか倫理というかを教えてもらってて……」
「……君は本当に兄なのかい?」
しまった!変な事まで話し過ぎた!これじゃあ余計に変に思われちまう!
「兄貴、情けないよ」
その時、ヘッドフォンを耳に付けて他人のフリを決めていた志乃がそんな事を呟く。ちょ、聞こえてんのかよ。
おっちゃんはまだ俺達を見比べている。その視線に警戒の色が薄れる気配は無く、
「とにかく、一度来てもらうよ。家族に連絡を取るのはあっちで良いから」
「ちょっと待って!何で信じてくれないんですか!しかも、俺達の家すぐそこなんですけど!」
俺が指さすところには、実際に我が家がある。そう、本当に家は近かったのだ。こんな事なら家で話せば良かった。少し後悔する。
「そこの嬢ちゃん。この少年が言っている事は本当かい?」
おっちゃんが俺から志乃に方向を転換。よし、後はこいつが普通に話してくれれば家に
「兄貴はちょっと可哀想な人なんで」
帰れるかこれ!?なんか意味不明な言葉が返ってきたぞ?何故に俺の事を話した?ここで言うべきなのは真実か嘘かじゃないの?
「なるほど、欲求不満、か」
何納得してんのおっさん!しかも訳知り顔で!腹立つなおい!
「違いますって!俺とこいつはカラオケに行って帰り途中だっただけで……」
俺はもう必死だった。こんなところで補導歴が付くなんて御免だ。ただでさえ一度学校を退学した身だ。これ以上目を付けられたりするのは本当に好ましくない。……俺がこんな怪しげな服を着てうろついてるのが原因なんだけどな。
俺の必死な弁解が通じたのか、おっちゃんは溜息を吐きながらもう一度志乃に問う。
「本当に、君達は兄妹で何もしていないんだね?」
「兄貴はタダの兄貴なんで」
志乃はおっちゃんの目すら見ずに訳の分からない事を言う。
そこで、おっちゃんは諦めたという風にもう一度深く溜息を吐き、
「分かった。今回の事は不問にするから早く家に帰りなさい。あまり変な格好でうろついたらダメだよ」
「すいません、ご迷
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