DAO:ジ・アリス・レプリカ〜神々の饗宴〜
第二十七話
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かし数秒もたてば、風属性のスキルで体勢を立て直し、隙は無くなってしまうだろう。三次元的な動きを可能とする、《エアリアル・コンボ》と呼ばれる、流体を操ることが可能な属性にのみ許された格闘戦術だ。
つまりは、堅い防御を突き崩し、反撃の隙すらなくクリティカルヒットを決めなくてはならない。即ち、技御硬直時間が長いような技では駄目なのだ。残身が必要となる、剣術の型的な技でも駄目だ。
そう。コクトは、完全な創作剣技を創らなくてはならないのだ。たとえそれが、一度だけしか放てないような秘儀であったとしても。
考えろ。考えろ。考えろ――――――――ふと、脳裏に浮かんだのは、セモンの姿だった。だがそれは、SAOの世界で戦うセモンの姿ではない。ALOでも、他の仮想世界でも、もちろんこの《ジ・アリス・レプリカ》の世界でもない。
それは現実世界――――それも、もう何年も前の光景だった。セモン……清文と、コクト……黒覇が、並んでハイビジョンテレビの前に座っている。二人が握っているのは、今ではもうすっかり見なくなってしまったゲームコントローラー。対応するテレビ画面に映し出されているのは、格闘ゲームの画面の様だった。清文も黒覇も、同じ刀使いのキャラクターユニットを使用している。両者同時にコントローラーを動かし……しかし、黒覇の方がコマンド入力が速い。カットインが入る。黒覇の操るキャラクターに搭載された《必殺技》が、清文のキャラクターのHPを粉砕した。
『くぁーっ!強いな黒兄は!』
『ははは、まだまだだな。だが清文の攻撃は重いな……キャラクターの性能は同じはずなのに、つばぜり合いでは必ず負けるからな……』
そのときだった。コクトの脳裏に、自らが編み出すべき技が、突然、電撃の様に、神の啓示の様に閃いた。淡い記憶の中から、そのモーションを呼び起こす。
「……なんだぁ?その構え方は」
コクトのとったのは、背をウォルギルの方向に向けるようにして腰をひねり、両手で構えた刀を、地面と平行になるように頭の高さまで掲げたモーション。
それは、かつて伝説の剣豪が、死の間際に手にしたという必殺の次元断とよく似た、しかし、外見上ではわからずとも実は全く異なる構え。
これは、遠き絆が作り上げた剣。
「――――――――秘剣・吹雪返・《心》!!覇ァッ!!」
奔った剣線は無数。発生したエフェクトは一つ。束の様に折り重なった、剣戟の吹雪が、ウォルギルを強く斬り裂いた。
「ぐぉぁ!?」
「ぜぁぁぁぁぁっ!!」
吹き飛ぶウォルギルに向かって、全力の突き。
ところで、コクトが操る魔術の中で最も強力なのは、実は土属性でも闇属性でもない。コクトが持つ六門属性、そ
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