幼い日の思い出
弱音は吐かない
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でも、もし、ばれてしまったのなら、その時は。
自分はカトナとナルトを連れて里抜けすることも辞すまいと、ひそかに決意する。
神妙な顔をしたイタチはそこで、自分を心配そうに見上げているサスケに気が付いた。小さな肩が震えている。
イタチはそっと丸い頭を撫でて、幼い弟の不安をぬぐうように柔らかく語り掛ける。
「サスケ、行くぞ」
「……カトナは、大丈夫なの?」
「ああ、もう大丈夫だ。どこも痛くないよ」
その言葉に安堵したらしいサスケは、大きく息を吐き出した。
イタチの横に並ぶと、微細なチャクラコントロールに疲れて寝てしまったカトナの、小さな掌を握りしめた。
「にいさん」
弟の震えた声に、イタチは歩き出そうとした足を止めて、振り返る。
俯いたサスケの顔は、こちらから窺うことはできなかった。
「サスケ? どうした」
「強くなりたい」
泣きべそばかりかいていたサスケの言葉に、イタチは一瞬意表を突かれ、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
いつも無表情のイタチの顔としては、珍しいどころの話ではないが、弟であるサスケは全くそれに反応せず、ただ、イタチにおんぶされているカトナの横顔を見つめる。
笑いたいと、彼女はそう言った。
泣くのは嫌だと。泣いたら、ナルトが心配するからいやだと。あんな奴らの所為で泣くのは嫌だと。
それなら、どんな時でも、ナルトを守れているのだから、笑っていたいと、ナルトに向けられる悪意を防げているから、幸せだと思っていたいのだと。
彼女がそう言うのならば、彼女がそれを願うのならば、サスケは彼女を守りたくなった。
「強くなって、彼奴を笑わせ続けてやりたい。それで、彼奴が泣ける様になればいい」
守って守って、傷ついてまで笑う理由を無くして、痛みを抑えてまで泣く理由を無くして、ナルトと共に入れて幸せだと笑う彼女を、本当の意味で泣かせたくなったのだ。
その弟の言葉に、イタチは笑った。
「じゃあ、強くなるために修行、もっと頑張るか」
「うん」
すぐさま、金色の光がこちらに飛んできた。
「あっ、サスケ、イタチ兄! カトナ!! どこ行ってたんだってばよ!?」
ぱっと、明るい顔で満面の笑みを浮かべたナルトに、サスケは先程までかいていた泣きべそを慌てて取り払って、勢いよくに飛びついた。
「ちょっと遠くにいってた!」
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