幼い日の思い出
弱音は吐かない
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なく、チャクラを与えるべきところに与えるのは、高度の度合いを超える。
そもそも、掌仙術すら忍医の中で使えるものがわずかなほどにチャクラコントールが難しいのだ。
それなのに、外側の傷も癒す一方で、自分の体内の経絡系に与えられた他人のチャクラが循環しないようにしながら、内側からも体治療する行為は、至難の業などという表現ではすまされない。
最早その技は、三忍の一人である綱手でしか―いや、彼女さえも使うことが難しいだろう。
彼女もそれを行うことはできるが、”忍法、創造再生”――体全体にチャクラをいきわたらせ、傷をおった患部だけではなく、それ以外の部分も活性化する術――であるため、部分部分で癒すことはない。
比べれば、どちらの方がより微細なチャクラコントロールを行えるかは一目瞭然である。
それをまだ、八歳の身で行っているという事実に、無意識の内にイタチの肌が粟立った。
彼も天才だと賞賛されてきたからこそわかる。
目の前の少女のチャクラコントロールは異常だ。
いや、彼女の場合はチャクラコントロールが異常なのではなく、集中力が異常なのだが。
本来の人間は、自分の周囲に危険がないかを確かめるべく、常に意識の何割かを注意に払う生き物なのだが、うずまきカトナの場合はそれがない。
彼女は一つのことをとらえたその瞬間、五感のすべてがその目的以外の情報を遮断してしまう。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、痛覚。それから勘。
ありとあらゆる機能が、彼女の求める情報以外に反応しなくなる特殊体質なのだ。
それがゆえに、こうと決めたらそれ以外が目に入らない。
ありとあらゆる状況下において、設定した目的を果たすためだけに最大のパフォーマンスを発揮できてしまう。
弟のナルトとは違った形の、猪突猛進型であり一点特化型。
カトナの傷口が瞬く間に閉じて、折れた骨は治り、破れた血管は繋がれて、癒えていく。
それは回復という領域を超え、再生という領域にすら達している。まるで映像を巻き戻ししているかのように、傷ついた体が癒えていき、治っていく。
そうして数分もすれば、すべての傷が消える。
イタチはカトナの治療が終わったのを確認すると、すぐさま周囲に視線を配った。
誰もいない。その事実にほっと息をついて、うつらうつらと舟をこぎ出したカトナの体を背負う。
もしも、こんなところを見つけられてしまえば、カトナの処刑を騒ぐ輩は、八歳の子供がこんな風に使えるのは可笑しい。こんなことが出来るのは九尾が居るからだと騒いで、カトナの処刑を現実のものにさせてしまうかもしれない。
いや、里の人間に発表して、火影を弾圧して、カトナを暗殺すべきという論をさらに強めるのかもしれない。
それだけは避けなければいけない。
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