幼い日の思い出
弱音は吐かない
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タチは一瞬顔をしかめると、すぐさま、カトナの傷の状態を確認する。
頭部の外傷。歪に曲がった左足、踏まれて変形した右のつま先。何回も蹴られた腹部には無数の青あざ。気管が損傷しているのか、唇には血の痕。背中にもいくつかの足跡。
計、六か所。
これはまずいとイタチは即座に判断し、彼女の掌を握る。
イタチの手を青いチャクラが覆ったかと思うと、それがカトナの肌から内側にしみ込んでいく。
カトナは慣れた手つきで、自分に与えられたイタチのチャクラを傷に流しこんだ。
それを見とがめたサスケは、泣きだしそうになったのを必死にこらえると、イタチの代わりに辺りを見回す。
幼いながらも忍びであるサスケが気を張り詰め、周囲を警戒しているのは、それなりの理由があった。
今現在、彼女は自分の体の内側と外側から同時に、医療忍術をかけている。また、体に負った六か所の傷を、同時進行で癒しているのである。
チャクラコントロールはイタチも長けているが、しかし、カトナのコントロール能力はそれに輪をかけていた。
自分の中に流れたチャクラを他人に与えたり、他人から与えれたチャクラを他の人物に流したりなどは、彼女の十八番技術と言えるほどだ。
それの応用で、彼女は今、己体に渡されたチャクラを、破壊された自らの体の部分に当て、外側からではなく内側から傷を癒すという、ある意味無茶ぶりがすぎる行為を、平然と行っていた。
もともと、医療忍術というのは、チャクラを使うことで患部の傷の回復を早める術だ。
だが、その術の多くは外側から行う。
正確には、並の人間では外側からしか行えないのだ。
医療忍術の基本術が、掌にチャクラを集中させ、傷ついた部位に当てて治りを早くする”掌仙術”であるように、基本的に医療忍者は負傷者を回復するの役目であって、自らの傷をいやすのは専門外だからだ。
また、内側から傷をいやすためには、針穴に糸を通すような繊細なチャクラのコントロールが必要とされる。
このふたつの点から、医療忍術の多くは、外側から治療する術になっている。
ただそれがゆえに、掌仙術では体内に残ったダメージを治すのには効率が悪い。
日向家の柔拳が猛威を振るう理由の一つだ。
うずまきカトナはその欠点に着目し、彼女は彼女なりにどうすれば治癒が円滑になるかを考えた。
外側からでは内側の傷を治すことは難しい。かといって内側から治せば、外側を癒すのに時間がかかる。
ばらばらに行って、患部に無駄な負荷をかけるのは避けたい。
ならば同時に治癒すればいい。
うずまきカトナはそう考え、それを実行して見せた。
彼女の考えはなるほど、真理なのだろう。
しかし、自らの体が痛みを訴え、激痛で集中力がかき乱される中でもコントロールを乱すこと
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