第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十一話 一時の安らぎ
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畳屋を去った。そして少ししてから店の中から幽香の怒声が聞こえた気がする。
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「…兄さん良かったんですか?」
大通りまで来た時さとりが僕に向けそんな事を聞いてくる。
「いやーいい事すると気分がいいよね!さて地子にこの郷を案内してあげないとね」
僕の台詞にさとりが何やら溜息を吐いているがとりあえず無視しよう。
「じゃぁお兄ちゃんが何か買ってくれるみたいだから行こう地子!」
「えっ!いいんですか!ありがとうございます七枷様!」
あれ?案内をするって言っただけのはずなんだけど?まぁいいか。こいしはさとりと地子の手を取ると通りにある雑貨屋に向け二人を引っ張っていく。
雑貨屋『霧雨』雑貨屋と看板は出ているからか扱っている品は本当に千差万別。煎餅の隣りには何故か刀剣が置かれ、奥の方には甲冑が並びその隣りには干し肉が吊るされ、棚には壷や置物、果物や野菜が並んでいる。店先の机には金銀の装飾や小物、様々な種類の服や帽子、呪符や魔除け神奈子や諏訪子に良く似た人形等が置かれていた。いや流石に雑多すぎるよね!
こいし達はその雑多過ぎる店が逆に面白いのか楽しそうにお喋りをしている。三人が店を物色していると店の店主と思われる人物が僕に話しかけてきた。
「おーおーいらっしゃいませ!本日はどの様な物が御所望ですかな?」
黄色の短髪に度の深い眼鏡をかけた中肉中背の初老の男性が朗らかな笑みを浮かべている。話を聞くと最近この郷に家族で移住し店を開いたのだとか。前の街ではあまり店が流行らなくて風の噂で七枷の郷では変わった店が繁盛すると聞きすぐに移住を決意したのだとか。何だか変な噂が流れているようだ。
「最初は街中に妖怪が居て家族共々恐々しておりましたが今ではそんな態度を取っていたのが馬鹿馬鹿しいと思える様になりましたよ!孫が通っている寺小屋の教師も妖怪らしいのですが凄く優しいと言っておりました。店も中々に繁盛してまして此処に来て本当に良かったです」
「あははは、そう言ってもらえると嬉しいよ」
僕がそう言うと店主は少し不思議そうな顔をしたがすぐに朗らかな笑顔に戻る。まぁ僕の事を知らないからだろう、態々言うつもりも無いけど。
僕達が世間話に華を咲かせているとさとり達がそれぞれ手に何かを持って戻って来た。
「じゃぁお兄ちゃんお会計お願いね♪」
「全くこの子は」
「さとりさんもしっかり選んでるじゃないですか」
こいしに注意していたさとりの手には黒い髪留めが握られており地子にそう指摘されると顔を赤くして俯いてしまう。
こいしと地子の手にはお揃いの黒色のつば広帽子握られていた。僕はついでに店先に置いて
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