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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
四十一話 一時の安らぎ
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しに笑顔を向けながらそんな事を言っている。出るに決まっているだろ、多分。

「もう幽香姉さんったら、手伝いに来てくれたんですね兄さん。……なるほどこいしに連行されたのですか、ごめんなさい」

 二人に比べてさとりは良い子だね、爪の垢でも煎じて飲ませてあげたいよ。そんな事を考えていると突然隣に居たこいしに頬を抓られる。

「お兄ちゃん〜あまり変な事は考えない方がいいよ〜」

 忘れていたこいしも悟り妖怪だった。ちなみにさとりが僕を兄さんと呼ぶのはこいしが「これから同じ家に住むんだから他人行儀はだめだよね。」と言い出した為だ。ついでに幽香にもお兄ちゃんと呼ばせようとしたら本気で殴り飛ばされたのは秘密だ。

「それじゃぁ虚空、そこにある廃材を纏めてあっちの集積場に持っていって。それが終わったら一区の入り口に置いてある石材を六十個此処まで運んで、その後に畳屋まで行ってお茶請けを買って来て。その後私の肩を揉んで…」

「最後の方は明らかに幽香の個人的な命令だよね!というかそれじゃ全部の仕事を僕一人でこなす事になるだろ!働かないといけないのは幽香、君だよ!」

「非道い男ね、こんなにか弱い女に労働を強いるなんて」

「どの口がほざくのやら。そもそも僕は非道い男なんだよ」

 僕と幽香のそんな言い合いをさとりとこいしがお茶を飲みながら眺めており、周りにいた者達も苦笑いを浮かべたり野次を飛ばしながら眺めている。
 僕達がそんな事をしていると突然こいしが大声を上げ走り出す。こいしが走って行った方を見るとそこにはこいしに抱きしめられている地子がおりその隣りには父親の弦州が立っていた。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 僕は今、幽香、さとり、こいし、弦州、地子と共に畳屋の室内席でお茶を飲んでいる。
 弦州と地子は所用で近くの町に来る用事があり、その足で僕の所を尋ねて来たのだそうだ。あの時の礼をしたい、との事だが正直してもらう理由が無いのだ。結局あれは結果的にああなっただけで地子に関して言えば運が良かった、それだけだ。
 僕がそう言うと弦州はその矛先を幽香へと代える。

「地子の話によればそこの妖怪のお嬢さん方に色々助けていただいたそうです。どうかお礼をさせて頂きたい!」

 机に両手を付き頭を下げる弦州に幽香は困った様な表情を浮かべ視線で僕に助けを求めて来た。幽香自身自らの意思では無かったとしても郷を破壊した事に罪悪感がある為、弦州からの感謝を素直に受け止められないのだろう。

「弦州…幽香はね困ってるんだよ。だから僕達は席を外すから後は二人で話し合ってね♪」

 僕の台詞に呆けた様な表情をしている幽香を残し僕はさとりとこいし、地子を連れ足早に
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