第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十一話 一時の安らぎ
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の場に居合わせ戦意を喪失しへたり込んで居た所を椛が無理矢理抱えて脱出したらしい。
昨日のあの子の苛烈な雰囲気は敵に対する復讐心と言う事か。
「あやつには酷な言い方ですが死んだ者に何時までも囚われてほしくはありませんな。立場上生きている同胞の為に働いてもらわねば」
黄葉の言葉は尤もだけど何をどうするかは結局の所本人が決める事だ、いや決め様が無い。あの子がどうするかはわからないけれど。
「あんまり難しく考えない方がいいよ、結局は本人次第だからね。あっとそうだったごめんね僕ちょっと出かけてくるから、何かあったら神奈子か巫女の二人に伝えて」
「いえ引き止めてしまい申し訳ありません、ではいってらっしゃいませ」
二人に見送られ僕は街の方へと向かった。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
七枷の里は神社を中心に九つの区に分かれている。南東から左に一区、二区、三区。中心の神社は五区、右が四区、左が六区。北東から左に七区、八区、九区だ。
幽香の襲撃で破壊されたのが一区と二区、此処は未だに復旧作業の真っ最中で人間の大工や力自慢の妖怪等が忙しなく動き回っていた。
僕は此処の区長の下を訪れ前々から提案されていた区画の拡張の件を話し合いに来た。最近郷に移住してくる者が増え住居を建てる土地が不足してきたと進言があり、今回の修復作業のついでに拡張工事もしてしまおう、と神奈子との話し合いで決まったのだ。
それに天狗達の住居も考えないといけなかった為その作業も並行する事を区長に伝え、区長の家から出ると後ろから声をかけられる。
「あっ!お兄ちゃーん!」
振り返るとこいしがこちらに駆け寄ってくる所だった。
「やぁこいし、幽香の手伝いかい?」
「うんそうだよ、お兄ちゃんも暇なら手伝ってよ」
「…僕って暇そうに見えるのかな〜」
こいしは僕の返事も聞かずに僕の手を引き歩き出す。まぁいいんだけどね。
あれから幽香は街の復旧に尽力し連日朝早くから日が沈むまで労働に励んでいる。さとりとこいしはそんな幽香を手伝い共に復旧作業に従事している。
最初は幽香の事を襲撃した張本人として警戒していた皆も今では仲間意識にも近い感情を抱いていると大工の棟梁が言っていたな。でも大の男数人がかりで持ち上げる木材を軽々と持っていく幽香の姿には恐怖するらしい。それはそうだろう。
幽香の居る所に付くと丁度休憩に入ていたのか幽香とさとりが共に置いてある木材に腰掛けお茶を飲んでいた。そしてその二人にこいしが声をかける。
「お〜い、人手持って来たよ〜!」
「あら、良くやったわねこいし。こいつなら使い潰しても文句は出ないでしょう♪」
幽香はこい
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