忠告
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
配者《ロード・オブ・アリエス》発動時の年相応感はすっかり消え失せている。
ここまで消え失せていると拍手を送りたくなるほどだ。
「・・・うん」
こくり、とルーシィは頷きながら、何かが自分の中でふわふわと曖昧になっている気がしていた。
それが何かは解らない。
今まで抱えた事のないそれに違和感を覚えながら、ルーシィは頷き―――――
「・・・ハハッ、青春ってヤツだねぇ」
突如響いた、マミーの声に意識を持っていかれた。
慌ててマミーに目を向けると、彼女は大の字に倒れ込んでこっちを見ている。
きっと彼女の目には2人や世界が逆さまに見えているだろう。
ボロボロの傷だらけだが、その顔には笑みが浮かんでいる。
「ルーシィ、下がって。コイツ・・・」
「待ちなよ風使い。アタシにもう戦意なんてないんだからさ」
「は?」
思わずルーは眉を顰める。
それに構わず、マミーは続けた。
「こんだけボロボロでこの状況に1番使える人形もないんだ。アタシにとっちゃ絶体絶命ってワケよ。なのにわざわざ自分から死ぬような事しないっての」
確かにその通りである。
ルーは左手に纏わせた風を消し去りながら、それでも警戒を完全に解く事はせずにマミーを睨んだ。
「・・・ねぇ、アンタ達さ」
「何?」
「本気でティア嬢、助けようと思ってるワケ?」
マミーの問いに、2人は顔を見合わせた。
2人の顔には「一体コイツは何を聞いているんだ?」と言いたげな、キョトンとしたような不思議そうな表情が浮かんでいる。
「当然でしょ!ティアは仲間なんだから助けて当然じゃない」
「そうだそうだー!」
ルーシィの言葉にルーは大きく頷く。
それを聞いたマミーは一瞬驚いたように目を見開き、すぐに溜息をついた。
「バカだなぁ・・・アンタ達、何で自分から地獄に向かって行くかねぇ」
「はへ?」
「地獄?」
ゴロリとうつ伏せになったマミーは痛そうに表情を歪めながら起き上がり、近くの壁に背を預けた。
左膝を立て、ボサボサの髪の間から瞳を覗かせる。
「アンタ達と戦うのはなかなか楽しかったからね・・・これで潰せりゃもっと楽しかったんだけどさ。勝者に1つ、忠告してあげようじゃないか」
「忠告?」
そっ、とマミーは頷いた。
戦っている間は残酷な奴にしか見えなかったが、優しい面もあるようだ。
目にかかる髪を鬱陶しそうに右に避け、マミーは口を開く。
「シャロン様とシオ、パラゴーネには気をつけな」
重い声だった。
その声に嘘は見られない。見られないというより、微塵もない。
正真正銘、本当に彼女はそう忠告してるのだ。
「まず、シャロン様の強さは桁違い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ