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Element Magic Trinity
忠告
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配者《ロード・オブ・アリエス》発動時の年相応感はすっかり消え失せている。
ここまで消え失せていると拍手を送りたくなるほどだ。

「・・・うん」

こくり、とルーシィは頷きながら、何かが自分の中でふわふわと曖昧になっている気がしていた。
それが何かは解らない。
今まで抱えた事のないそれに違和感を覚えながら、ルーシィは頷き―――――




「・・・ハハッ、青春ってヤツだねぇ」




突如響いた、マミーの声に意識を持っていかれた。
慌ててマミーに目を向けると、彼女は大の字に倒れ込んでこっちを見ている。
きっと彼女の目には2人や世界が逆さまに見えているだろう。
ボロボロの傷だらけだが、その顔には笑みが浮かんでいる。

「ルーシィ、下がって。コイツ・・・」
「待ちなよ風使い。アタシにもう戦意なんてないんだからさ」
「は?」

思わずルーは眉を顰める。
それに構わず、マミーは続けた。

「こんだけボロボロでこの状況に1番使える人形もないんだ。アタシにとっちゃ絶体絶命ってワケよ。なのにわざわざ自分から死ぬような事しないっての」

確かにその通りである。
ルーは左手に纏わせた風を消し去りながら、それでも警戒を完全に解く事はせずにマミーを睨んだ。

「・・・ねぇ、アンタ達さ」
「何?」
「本気でティア嬢、助けようと思ってるワケ?」

マミーの問いに、2人は顔を見合わせた。
2人の顔には「一体コイツは何を聞いているんだ?」と言いたげな、キョトンとしたような不思議そうな表情が浮かんでいる。

「当然でしょ!ティアは仲間なんだから助けて当然じゃない」
「そうだそうだー!」

ルーシィの言葉にルーは大きく頷く。
それを聞いたマミーは一瞬驚いたように目を見開き、すぐに溜息をついた。

「バカだなぁ・・・アンタ達、何で自分から地獄に向かって行くかねぇ」
「はへ?」
「地獄?」

ゴロリとうつ伏せになったマミーは痛そうに表情を歪めながら起き上がり、近くの壁に背を預けた。
左膝を立て、ボサボサの髪の間から瞳を覗かせる。

「アンタ達と戦うのはなかなか楽しかったからね・・・これで潰せりゃもっと楽しかったんだけどさ。勝者に1つ、忠告してあげようじゃないか」
「忠告?」

そっ、とマミーは頷いた。
戦っている間は残酷な奴にしか見えなかったが、優しい面もあるようだ。
目にかかる髪を鬱陶しそうに右に避け、マミーは口を開く。






「シャロン様とシオ、パラゴーネには気をつけな」






重い声だった。
その声に嘘は見られない。見られないというより、微塵もない。
正真正銘、本当に彼女はそう忠告してるのだ。

「まず、シャロン様の強さは桁違い
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