忠告
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しかった・・・悲しかったはずなのにね?泣けなかったんだ。村が滅びて父さんと母さんが死んだって事を知った時は大声で泣いたのに、サヤを見ても涙なんて出てこなかった。おかしいよね・・・大好きだったはずなのに」
悲しかった。
どうしようもない辛さや悲しさ、何で自分だけが生き残ったんだという、どこにぶつけていいか解らない怒り。
その全てをあの日、ルーは抱えた。
人が死ぬ事で抱える感情の全てを抱えて、泣いたはずだった。
―――――なのに、サヤの死に涙が出てこないのは、何故?
「泣いてないって事に気づいた時・・・一瞬、僕って人間じゃないのかなって思ったんだ。人間だったら大好きな人の死に泣けるはずなのに、泣けなかったから。その時、怖かった。もし人間じゃなかったらどうしようって、みんなが死んだ事に対する恐怖よりも、怖かった」
カタカタと、ルーの体が震える。
その顔には笑みがあるが、明らかに無理しているような笑みだった。
「だからね・・・僕はずっと、大好きな人を作らなかったんだ。その人が死んだ時に、サヤの時みたいに泣けなくて同じように人間じゃないって怖い思いをしたくなかったから。ティアとアルカは好きだけど・・・大好きってほどではなかったし、大好きにしたくなかった」
自分勝手だね、とルーは呟いた。
9歳の誕生日に抱いた恐怖は、9歳の少年が抱えるには大きく、重すぎた。
そして、その時のルーの周りに、その恐怖を薄れさせてくれる人はいなかった。
「だからさ、実はルーシィを好きになった時、不安だったんだよね。また同じ思いするのかなって。今考えるとバカっぽかったよ・・・自分の気持ちにワザと気づかないフリして、ルーシィの事“キャバ嬢”って呼んでさ・・・名前で呼ぶのが、怖かったんだと思う。想いに気づきそうで」
いつも笑顔で、いつも呑気で、いつだってツッコみどころ満載で。
それでもルーは悩み続けていたのだ。
悩みとは無縁そうな性格だから悩まない訳じゃない。
誰にも打ち明けられず―――――ティアさえにも、打ち明けられずに悩んできたのだ。
「けどさー・・・隠すのめんどくなっちゃったんだよね。てか、そもそもルーシィは強いからそんな簡単に死んだりしないって気づいたんだ。だから―――――宣戦布告、させてもらった」
宣戦布告、という名の告白。
父親と決別した際の光景を思い出し、ルーシィは赤くなる。
「え、えと、その・・・」
「ん、いいんだよルーシィ。気にしなくて」
「へ?」
戸惑うように視線を泳がせたルーシィに、ルーはふわりと微笑む。
「無理に返事を出さなくていい。ただ、僕が言いたかっただけだから。頭の片隅にでも置いてくれれば、それでいいんだよ」
ほわほわとした雰囲気を纏うルー。
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