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雑炊
第五章

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第五章

「レシピに書いてあったよね」
「そうよね。それじゃあ」
「うん。今から作るから」
 こう言ってだ。かな恵をテーブルに座らせようとする。しかしだ。
 ここでだ。彼女はこう雄策に言うのだった。
「待って」
「待ってって?」
「手伝わせて」
 笑顔で雄策に言うのである。
「そうさせて」
「いいよ。それは」
「そんな訳にはいかないわよ。二人で食べるから」
 それでだとだ。かな恵も何気に引かない。
「だからね。ここはね」
「二人で?」
「そう、食べるのも作るのも」
 どちらもだというのだ。それは。
「二人でしましょう」
「そうだね。そう言うんならね」
 最初にかな恵が言っていたことを思い出してだ。雄策もだ。
 あまり強くはないにしてもだ。彼女に答えるのだった。
「じゃあ。二人で」
「作ってね」
「食べようか」
「そうしよう。二人でね」
 こうして話は決まった。二人はキッチンに入ってだ。
 二人並んでトマトやアスパラガス、そしてベーコンを切りだ。白い御飯を炊いて味付けをしてだ。そのうえでリゾットを作ったのだった。
 作ったリゾットの上に粉チーズもかけて。二人向かい合ってテーブルに着いていただきますをしてからだ。そのリゾットを食べると。
 まずはかな恵が言うのだった。
「美味しい」
「美味しい?」
「ええ、美味しいわ」
 にこりと笑ってこう雄策に話す。
「とても美味しいわ」
「そう。気に入ってくれたんだね」
「リゾットは大好きだけれど」
「それでもその中でも?」
「トップよ、この美味しさ」
 こうまで言うのだった。
「雄策君本当に料理上手なのね」
「いや、一人じゃできなかったよ」
「雄策君一人じゃ?」
「僕一人じゃここまでのリゾットはできないから」
 そうだというのだ。彼もそのリゾットを食べている。二人で作ったそのリゾットをだ。

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