第四章
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第四章
「その辺りは僕が考えるから」
「じゃあ材料は私が買って」
「そうして僕が作って」
「私も作るの手伝うから」
さりげなくだ。かな恵はこんなことも言った。
「任せてね」
「じゃあ頼りにさせてもらうよ」
「ええ、それじゃあ」
こうした話をしてだ。二人は決めたのだった。まずは雄策がレシピを調べるのだった。
レシピはまず及第粥を見て。それからだった。
「じゃあここから考えるか」
及第粥をアレンジしてだ。そうしていこうというのだった。
彼はだ。かな恵に材料のレシピを渡したのだった。
「これでいいのね」
「うん、いいよ」
レシピを書いたメモを見て問うかな恵にだ。雄策は笑顔で答える。
「お米はこっちにあるから」
「お米がないとね」
「お粥じゃないから」
このことは言うまでもないことだった。
「それはね」
「あるから安心してね」
「ええ。それじゃあね」
こうして彼女が近くのスーパーで食材を買った。そのうえでだった。
料理をする場所は何処かというとだ。雄策の家だった。かな恵にとってははじめて入る彼の家だった。その一軒家に入ってだ。
彼女はだ。家の中を見回しながら彼に言うのだった。
「ふうん、こうなってるの」
「こうなってるのって?」
「いや、雄策君の家ってこうなんだなって思って」
これがかな恵の今の言葉だった。
「それでね」
「別におかしな家じゃないよね」
「ええ、いいお家だと思うわ」
にこりと笑って彼に話す。
「落ち着いていて静かでね」
「そうでしょ。だから僕もこの家好きなんだ」
「自分の家だから余計になのね」
「自分の家が嫌いって悲しいことだし」
そのことも話すのだった。自分の家への感情もだ。
「その点僕は幸せだろうね」
「そうよね。好きな家に住めることはね」
「いいことね。本当に」
「それじゃあ」
ここまで話してだ。それでだ。
雄策からだ。こう言うのだった。
「テーブルの上で待ってて」
「テーブルの上で?」
「そう、そこでね」
笑顔でかな恵に話すのだった。
「今から作るから」
「それで何を作ってくれるの?」
「リゾットだけれど」
作るのはそれだとだ。笑顔で話すのである。
「イタリアの雑炊をね」
「ああ、あのイタリアの」
「そう、イタリアのね」
まさにそれだというのだ。リゾットをだというのだ。
「あれを作るけれどどうかな」
「私実はリゾットはね」
ここでは思わせぶりに言うかな恵だった。笑顔もそうしたものになっている。
それでだ。彼女が言う言葉は。
「大好きなのよ」
「あっ、好きなんだ」
「イタリアンは何でも好きだから」
どうやらトマトが好きな様だ。イタリア料理といえばまずはトマトだ。
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