第四話
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げられたボールを受け取り、ドリブルを始めた。
(来ない……か……)
ボールを投げ渡してから夏音は一歩も動かない。腰を落とし、両腕を低めに構えて琴那を待ち構えている。
(ドライブを警戒してるのか。けどね!)
右手でボールを突く勢いを強くし、夏音の左から抜けようとする。当然夏音も反応もするが、そこから更に切り返し反対側へ━━━━。
(ッ……!? これにも反応するの!?)
抜ける寸前に夏音も切り返してきた。だが━━━━。
「ぃよっ!」
「ちっ……!?」
「琴覇!」
夏音に捕まる前に左右に身体を揺さぶって皐月のディフェンスを振り切り、ゴール下に入った琴覇にパスを出した。
「よしっ!」
ボールを受けた琴覇がその場でターン、ゴールに向かってボールを放った。
「━━━━!?」
その時自分に覆い被さってきた影に琴覇は背筋が震えるのを感じた。
「そらっ!!」
「なっ!?」
影━━━━夏音が琴覇の後ろから腕を伸ばし、ボールをライン外に叩き落とした。
「ナイスブロック」
「ありがとっ!」
皐月が外に出たボールを拾い上げながら夏音に声を掛ける。そして夏音の返事を聞きながらさっきの会話を思い出していた。
『作戦?』
『篠沢さんに聞いたんだけど、あの二人はどっちもフォワードで、しかも外からのシュートはほとんど無いらしい。つまり一番の脅威はドリブルでのペネトレイトやパスなんだけど、その行動目的は一貫してゴール下に入ること。その方がシュートの成功率も高いしね』
『んで? 俺はどうしたらいいんだ?』
『まず簡単にゴール下に入れない。抜かれそうな時は私の居る側から抜かせる事』
『抜かせてどうすんだよ?』
『決まってる。私が叩き落とす』
実際夏音の言った通りにはなった。
(けど……抜かせたんじゃない。抜かせるしかなかった……!)
琴覇の動きは皐月のイメージよりも遥か上だった。大人を相手にした時のような、歩幅等の体格の差ではなく体捌きで身体を動かす琴覇に反応が追いつかなかった。わざと片側にスペースを空けなかったら想定外の方向に抜かれていた。
(まだまだ遠いな……)
フリースローラインに歩いていく夏音の背中を見て思う。まだ届かない……。
(集中しねぇと……)
こんなことを考えながらミスすれば夏音にどやされる。彼女はバスケには怖いくらい真剣なのだから。
(さぁて……どう攻めるかな……)
再び響く笛の音と共に投げ渡されたボールを受け取り、トリプルスレットの体勢
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