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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十九話 洗礼
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委員会、通商委員会の起ち上げ準備を行うという事にします。和平交渉はその目処が立ってから。マスコミに知られると面白くありませんので……」
「分かった。それで構わない。皆、良いね?」
トリューニヒトが念を押すと皆が頷いた。まあこれで少しは騙せるだろう。
宇宙歴 796年 3月 27日 ハイネセン ユリアン・ミンツ
「提督、何をお考えですか?」
「うん、まあ色々とね」
リビングで提督が紅茶を飲みながら答えた。さっきまでヤン提督はTVを見ていた。TVにはトリューニヒト議長が映っていたんだけどチャンネルを変えずにずっと見ていた。議長嫌いの提督には珍しい事だ。ヴァレンシュタイン提督が出ていたからかな。
「ヴァレンシュタイン提督は退役しちゃったんですね」
「うん」
「軍にとっては痛手ですね、提督」
「それはどうかな」
アレ、違うのかな。痛手じゃないの。
「第一特設艦隊の後任司令官は決まっていないんだ。普通なら有り得ない事だね」
「それって」
「そう、ヴァレンシュタイン大将のために用意しているんだと思う。議長が言った一朝事有らば現役復帰というのは嘘じゃない」
そうなんだ。
「もっとも現役復帰する様な事態になるかどうか……」
「和平ですか?」
「うん、ヴァレンシュタイン大将は熱心な和平推進派だからね。彼が居なければここまで来ることは無かった。その事は誰もが認めている」
ヤン提督が一口紅茶を飲んだ。なんか心ここに非ず、そんな感じだ。何を考えているんだろう。
「軍にとっては和平の方が痛手だろうね。政府内部では今から予算の事で大騒ぎらしい」
「国防費の削減ですか?」
ヤン提督が頷いた。僕もその話は聞いている。和平が結ばれれば国防費が削減出来る。国防委員会は何とか予算を守ろうとし他の委員会は予算を奪おうとしている……。
「ネグロポンティ委員長は新任だからね。どうしても力関係では他の委員長に押されがちだろう。国防費を守る事が出来るかどうか……、特にレベロ財政委員長は昔から国防費が財政を圧迫していると声高に主張していた人だから……」
「国防費、削られちゃいますね」
“そうだね”と提督が頷いた。
「ネグロポンティ委員長が頼りにならないと見れば軍はヴァレンシュタイン大将に頼る事になるかもしれない。彼の軍における影響力は辞める前より強まるかもしれないよ」
それかな、ヤン提督が考えているのは。提督はヴァレンシュタイン大将の影響力が強まる事を心配しているのかもしれない。
「でもヴァレンシュタイン大将は和平推進派なんですよね。軍にとっては予算削減を引き起こした人物で煙たい人なんじゃありませんか?」
だから軍を退役させて政府に押し付けたんじゃないかな?
「逆だよ、ユリアン。和平が実現すれ
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