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乱世の確率事象改変
〜幕間〜 白き蓮に休日を
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。本質的に何処か似ている二人であるから余計に。

――別に着いて行ってもいいんだぞ。

 口から零れる寸前でその言葉を呑み込んだ。
 それは私から言う事では無い。言うとしてもきっと秋斗や桃香が出て行く時にしか言うべきではないだろう。
 星が納得するまで私の器を計ってくれたらいい。その上で何処へ行くか判断して決めてくれたらいい。だって……私が此処にいればいつでもこいつらは帰って来れるから。
 思考に潜っていると、秋斗と牡丹はゆっくりと馬の脚を緩めさせて私達の前まで来た。
 牡丹はなんでもないような顔をしているが、秋斗は疲労が色濃く出ていた。さすがにこれだけ長時間の馬上訓練は初めてだろうし仕方ないか。

「二人ともお疲れ」
「ああ! 白蓮様! 見てくれましたかこのバカの無様な姿を稀にちょっとだけいい動きするようですがそうですこいつはまだまだ此処で精進しなければいけないんですもっともっと私達と訓練を積まないとすぐにでも死んでしまうくらい脆いんです白蓮様の綺麗で美しいお手を煩わせるまでもありません私がこいつを踏み潰して身の程をわきまえさせて幽州に残らせますのでよろしければそれが出来たらご褒美にくんかくんかさせてくださいそれは勿論お風呂に入ってからいえいえ滅相もありません白蓮様と一緒に入るなんて恐れ多いその残り湯だけ頂きますそうすれば私のお肌も白蓮様のように美しく光り輝く白馬の如き白さに「そろそろ! 静かに! しろ!」あん! ありがとうございます!」

 また牡丹の暴走が始まったので怒鳴って黙らせると、いつものように口に手を当てて押し黙った。星は牡丹が話している内容が聞き取れたのか楽しそうに喉を鳴らし、次いで秋斗に話しかけた。

「前よりも幾分か動きがマシになりましたな。しかし牡丹……まだまだ秋斗殿を苛め足りないのではないか? 普段よりも優しく見えたぞ」

 既に普段通りに戻っていた星に言われると、牡丹は口を塞いだまま秋斗に対して感謝しろとでもいうように得意げな表情をして、まだ続けようとでも言うのかクイと馬の方に顔を振った。

「……さすがにこれ以上は尻の数が増えそうだから今日は終わりにしてくれ」

 手でさすりながら言う秋斗。私もそれには同意だから……せめて助け舟を出しておこうか。

「今日はこれくらいで勘弁してやれよ、二人とも。秋斗なら個人の訓練もこれから繰り返すだろうし、休息も訓練や仕事の内だぞ?」

 くつくつと苦笑する星は私がそう言うのを予測済みだったようだ。
 こうして私が止めるから、星も安心して冗談を言える……なんて自惚れてもいいかな。
 ただ、私の発言に目を鋭く光らせたのは秋斗と牡丹だった。

「分かった。なら仕事ばっかりしてる白蓮はこの後休め」
「このバカと星と私で白蓮様の仕事を終わらせます
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