〜幕間〜 白き蓮に休日を
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た戦い方も知識にあったからその延長線上の産物である。
さすがに白馬長史の片腕は騙せるはずもなかったようだ。
「馬の扱いは得意じゃないんだ。お前や白蓮みたいに格好よく乗りこなして、騎射まで正確に出来たらいいんだがなぁ……」
牡丹はずっと幽州を守って来た白蓮の重臣。言うまでも無く馬の扱いは飛び抜けている。
何度も見てきたかっこいいその姿に羨望を込めて言うと、牡丹は自慢げに顔をにやつかせてフンスと無い胸を張った。
俺の策略だとも気付かずに。
「美しくて強くて可憐で素晴らしい白蓮様がかっこいいのは分かり切ってる事ですが……そうですね、私よりも圧倒的に格下だと自分でも認めたみたいですし……少しだけ指導してやってもいいですよ?」
案の条、牡丹は俺をけなしながらも協力を買って出てくれた。
普段はツンケンして口を開けば俺を罵倒するくせに、真っ直ぐに褒められると気が利く。牡丹はそんな奴だった。
いつもならここで「お前に対しては嘘だバカ」と言って怒らせて楽しむ。本心を伝えるのは照れくさいのもあるから。
しかし、今回ばかりはそうも言ってられない。これから乱世を乗り越えて行くのなら騎乗での戦闘は必須。牡丹に馬術を少しでも教わっておけば一人でも多くを救えるのだから。
「そうか! ならよろしく頼む!」
素直に頭を下げると牡丹は一瞬固まり、すぐに不快げに顔を歪めた。
「……何企んでんですか。いつもなら私をバカにするくせに」
彼女も頭が悪いわけではない。だから俺の反応を訝しむのは当然。しかし……優しい性根である事も知っている。
「一人でも多く人を助けるためにどうしても必要なんだ。だからお前に教えて欲しい。白蓮は……頼もうにも自分の部隊の調練をお前に任せているほど忙しいからな」
言うと牡丹は瞳に少しだけ怒気を混ぜ込んだ。
ただ、彼女が何を言いたいかも俺には分かっていた。
「人を殺してお前が変わったのは知ってます。偉大な白蓮様に仕える私が一つ教えてあげましょう。誰かを殺すくせに救いたいっていうお前は最悪のろくでなしです」
牡丹が言いたいのは賊相手の事……では無く、桃香に対しての不満のカタチだ。俺に桃香を被せて非難しているということ。此処で防衛にだけ力を使わないなら、必ず上に上がる為に誰かを蹴落とさなければならない。それは獣に落ちた賊では無く、自分達と同じように何かを為したい人、及びその部下を殺すという事だ。
白蓮の並々ならぬ努力や涙を隣で見続けてきた彼女が桃香を嫌う理由はその点が大きく、自覚の無い偽善者が許せないのだ。
俺のしようとしている事は星も白蓮も知らない。もちろん牡丹もだ。だから桃香を嫌いな牡丹が俺に対してそう言ってしまうのは詮無きこと。
「そうさな、お前達三人
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