〜幕間〜 白き蓮に休日を
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牡丹と真名交換をしてからしばらく。
義勇軍による白蓮の労働負担は改善の一途を辿っていた。
長老との会合にも牡丹や星がついて来る事が多くなり、彼女達と民の絆は驚くほど深くなっていった。
以前ならば、警邏に出かけていたとしても挨拶をしてくれる程度の関係。しかし現在は誰しもから笑顔で話しかけられたり、店に寄ればおまけをくれる程。
白蓮は相も変わらず忙しいが、それでも夜半を過ぎても終わらない仕事も無くなって、週に一日程度の休暇を……取ろうと思えば取れるくらいにはなっていた。あいつの真面目さは異常なくらいで、無理やり休ませなければ休まないからどうにかしないと……牡丹の心配が暴発してしまう。
そういえば初の賊討伐で実感した事が一つあった。
俺の身体能力と戦闘能力はあの腹黒から与えられたモノなのだが、戦場では自分が意識して戦っている事への理解が必要だった。
知識として動し方が分かり、まるでこれまでに戦場を経験してきたかのように動くのも慣れてきた。
しかし戦場に於いては多数対一が常であり、強制的に突きつけられる膨大な情報を処理する為に自分の思考能力も問われる。そこに発生する問題は思考と身体のズレ。兵からすれば微細なモノなのだが、星や愛紗から見ると違和感を覚えられるだろう。
そこで身体と思考のズレを無くす為に毎日の練兵メニューに一つのモノを追加した。
義勇軍の俺の部隊幾人と実践演習を行う事。兵達が将と相対した場合を想定しての訓練にもなるし、俺自身の力を把握して研ぎ澄まして行くのにも最適な方法だった。まあ、周倉なんかは俺に一対一で挑んでくるのだが。
――与えられた力で戦う事は必死で努力してきた奴等に対して失礼だ。でも……人が一人でも多く救えるなら、俺はうそつきのままでいい。
兵達が必死に俺を倒そうと訓練を積む姿や、周倉を完膚なきまでに叩きのめす中、俺はあの時と同じように心を固めて行った。
地獄を作るなら、一人でも多く救いたい。この世界を変えるなら、もう理不尽に死に行く人が出ない世界に変えてやりたい、と。
そんなこんなで日に日にズレは改善され、兵達が一人でも多く死なないように効率的な戦場を作る為の連携攻撃を考える事も出来ていった。
そんな折、白蓮から賊の討伐を命じられ、牡丹と共に混成軍で出立する事となった。
月光の背に跨り進み続けるも、牡丹との会話は全くない。友達、というにはまだ少しだけ遠い。もう少しだけ距離が近づいて欲しいというのは俺のわがままだろう。
さて、どうやって話しかけたモノか、と悩んでいる時に牡丹がジト目で睨みつけてきた。
「お前……馬の乗り方がなんか変ですね。月光だから問題なく乗れてるって感じです」
突然の指摘に面喰う。
俺の乗馬の仕方は何となく分かる程度。馬に乗っ
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