第二部 vs.にんげん!
第19話 なんにもかくしてないっ!
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い――」
一瞬最悪の事態を覚悟したが、枕もとに回りこんだら布団がビクッと震えたので生きているとわかった。
ウェルドは長期戦を覚悟した。とりあえずベッドの脇に片膝をついて顔を覗きこむと、ノエルは怯えた顔で、真っ青になって目をそらした。
「悪ぃな、昨日すぐ来なくて」
無言。
視点が定まらず、しかし決してウェルドとシャルンがいる方は見ない。
「ウェルド、ウェルド、あたし――」
「わかってる。ショックだよな。当たり前だよ」
「違うの」
蚊の鳴くような声で言った。
「違うの、あたし――」
布団が盛り上がり、ノエルは肩に布団をすっぽり巻きつけた形でベッドの上に座りこんだ。そしてまた無言。涙すら出ない。
「どうしよう――」
「どうもこうもねぇだろ、もう取り返しつかねーし」
「ウェルド!」
シャルンが怒る。
「ノエル、分かってるの。あなたのせいじゃないって。あたしがあなたの立場でもおかしくなかったって、あたし分かってる。あなたは何も悪くないわ」
彼女なりに言葉を選びながら、ウェルドの後ろから、言った。
「それに、ウェルドの言い方は悪いけど、もう仕方がないよ……。ノエルがいつまでもそうしてたって、何にも変わらない。亡くなった人の魂だって浮かばれないわ」
「亡くなった人の魂……」
ノエルは虚ろに繰り返す。
「そうね……そんなものまで、背負っていかなきゃいけないのね……」
失敗だったと、シャルンは思い知らされた様子だった。
「……ごめん……」
振り向くと、ひどく動揺し、打ちひしがれた顔でシャルンは立っていた。
「……ごめんね……そういうつもりで、言ったんじゃないの……」
ふと泣きそうになる。彼女は何かを振り切るように、くるりと後ろを向いて部屋から出て行った。
ノエルのこの落ち込みようはおかしい。ここ数か月一緒にいて繊細な子だという事はわかっていたつもりだが、それにしても変だ。落ち込んでいると言うより、酷く怯えているように見える。
シャルンが出て行った後の部屋の戸を閉めてから、ノエルのベッドのマットレスに腰かけ、尋ねた。
「ノエル、お前、何か隠してるんじゃねえ?」
「なっ」
反応は激烈だった。
「ない! 何にも隠してないっ! 変な事言わないでよ!」
大きな目を吊り上げ、顔を真っ赤にする。明らかに図星を衝かれた反応だ。
その大声を聞きつけて、誰かが戸を開けた。エレアノールだった。
ウェルドは一旦、引く事にした。
「ノエル、どうしたのですか?」
「どうしよう、あたし、あたし……」
隣のウェルドに辛うじて聞こえる声で囁く。
「あたし、もう生きていたくない――」
「寝ろ」
ウェルドは立ち上がった。
「気分が変わるまでメシ食って寝ろ。明日も話しに来るからな。俺はぜってぇ
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