第二部 vs.にんげん!
第19話 なんにもかくしてないっ!
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ェルドさんがどうしてお目覚めになったかという事からお話ししたいと思います」
本題に入ると、ティアラの顔から微笑みが消えた。
「地下都市の下には『煉獄』と呼ばれる空間が広がっています。無数の穴とドームが縦横に組み合わさった灼熱の空間です。その所々に未知の材質で造られた不思議な柱があります」
一度言葉を切り、唾をのんだ。
「私たちは聖書の言葉を引用し『シェオルの柱』と呼んでいるのですが、それらの柱の内光を発している物が、凶戦士化によって肉体から引き離された魂が封じ込められています」
「肉体から魂が? こないだまでの俺の状況って、そういう――」
「ええ」
「よく生きていられたな。どうしてそのまま肉体が保存されて、残ったんだ?」
「一定時間ごとに回復の術をかけたからです。騙し騙し持ちこたえさせることができました。ですが、残されたディアスさんの場合はあまり時間が残されていません。話を続けます。
結論から言いますと、光っている柱を壊すとディアスさんの魂は肉体に戻ります。魔物の少ない所や厄介な仕掛けがない所、魔物の少ない所などを、ご協力いただける方に優先して探して頂きましたから、今残っているのは厄介な場所ばかりという事になります。その為最近は探索のペースが落ち、お怪我をされて探索に加われない方も増えて来ています」
「で、一人でもいいから人手が欲しいって事か」
「はい。協力者の方々には、煉獄の支道を一つずつ見て回って頂いています。そして顔を合わせ、互いに報告を……。根気との戦いになります。まずはどなたかと煉獄に入って頂きたいのですが……」
「わかった」
ウェルドは頷いた。
それができれば――ディアスを、誰かを助ける事ができれば――自信と自尊心を回復できるだろうと、それに賭けるしかなかった。
宿舎に帰ると、エントランスをシャルンがうろついていた。彼女はウェルドを待ち構えていたらしく、顔を合わせると、掴みかからんばかりの勢いで迫ってきた。
「ウェルド、ノエルに会ってあげて!」
その勢いにたじろぎ、思わず一歩身を引く。
「ど、どうしたんだよ」
「あの子、退院して以来自分の部屋にこもりっきりなの。誰が呼んでも出て来なくて、食事にだってこれなくって、毎日あたしやエレアノールがご飯を運んでるのよ。それすら殆ど口をつけなくって」
その報告にウェルドは衝撃を受けて硬直した。
シャルンが語るノエルの状況にではない。目覚めて以来、まるで自分の事しか考えていなかった自分に衝撃を受けたのだ。
「ノエル!」
矢も楯も堪らず、シャルンと共に宿舎の階段を上がった。ノエルを慰められるのは、同じ立場のウェルドだけ、シャルンはそう言いたいに違いなかった。
「ノエル」
彼女の姿はなく、ベッドの上の布団が人の形に盛り上がっている。
「お
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