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魔法少女マギステルたかね!
5話
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言葉に疑問は深くなる。
 暗に、「わかるか?」と言った視線を向けられ――それはある種の「課題」だと察する。時折こうして経験を積ませ、思考させようとする。それは高音にとっては有り難いことであった。
『……先ず、学園長のお孫さんは、関東の最高権力者の孫であり
――』
 ――同時に、関西の長の娘だったはずだ。つまり、その立場は微妙なバランスで保たれている。
 幾ら過激派が関西呪術協会の手の者だとして、関西のトップの娘を拉致したりすれば、過激派以外が黙ってはいまい。余程の大義名分を掲げても、組織の瓦解と娘を賭けて過激派の要求を簡単には飲まないだろうし――同時に関東をも敵に回す。
 つまり、自ら袋小路に立ち、それでいて尚強い「切り札」を持たねば意味はない。背水の陣などと生易しい表現では済まされないのだ。
「確かに、両営の最高権力者の娘である以上――人質としての意味合いは強いですが、関東……いえ、西洋魔法使いへの意趣返しとして使う駒としてはリスクが高過ぎますね」
 味方すら敵に回しての意趣返しとは……より身近に遺恨を遺しか
ねない暴挙だろう。
 だが、それだとやはり――関西からの襲撃が無い理由にならない。
「……“リスク“は理解出来ました。
 なら、それを踏まえた“何か“がある、ですね?」
 自ら次のステージに向かう高音に、士郎は姿勢も視線も高音に注ぎ、口元だけに笑みを浮かべる。
「そうだ。両組織に新たな遺恨を植え付けた者が消える動機を自ら付けたことになる。人質として金銭の要求をしても大義から外れ、賛同者を得られない。
 なら、“それ以外の使い道“なら?」
 “それ以外の使い道“?
 暫く考えるが、それ程のVIPをどう利用するか思い付かない。
愛衣も同じなのか、涙目にウンウン唸っては高音に視線を送る。曰く、「助けてお姉さま」。
「……解らんか。まあ、君は純粋だからな。思い付かないかもしれないが――」

 ――知っているか? 彼女は日本最大級の魔力保持者なのだよ――

 ――一瞬、高音は思考が止まってしまう。その言わんとしていること、それに思い到った自身が、その思考を放棄したのだから。
「解らないか?
 ……いや、違うか。解ったからこそ、それを認められないのか」
 認める?
 そんなこと――
「何事にも“最悪の選択肢“は存在する。
 君達がそれをせずとも、他人はするかもしれない」
「それは――」
 ――彼等は、“生贄“としてその魔力を使う――
「――そう、言いたいのですか?」
 人を一ツの道具として、道具は溜め込んだ蓄電器に擬えて、蓄電器はただその力を搾られより異質な存在の動力に成り果てる。
 そこに人の尊厳なんてない。そんな外道、高音には赦せる道理など無い。
 ギリギリ、と奥歯が擦れる程噛み締めながら
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