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魔法少女マギステルたかね!
5話
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必要に手を伸ばす不埒な行為は出来んよ。 ――何故残念な顔をする……」
 今日も今日とて、何かに気付いては一人一人に声を掛け、注意を促したりしている。
 中には態と注意を貰いたがるような生徒も居るが、飽きもせず、嫌がることもせずに真摯に対応する。それがまた泥沼に身を浸ける結果になるのだが――骨どころか魂に刻まれた“性質(さが)“がそう簡単に改変されるとは思えない。
 そうして日々変わらぬ彼の課は続く。
 朝日すら追いつけない程の生の輝きを満たす女生徒達の笑顔を眺め、陰りあるものには励ましを。誰一人余す事なく挨拶を贈る。
  そして、彼の日課には皮肉気な笑顔を贈る相手もいる。実際に多数、皮肉を言われる事もある。しかし何故か、彼女にだけは、「時折」ではなく「何時も」であった。
「――さて、おはよう、だ。敢えて聞くが、何故そんなに不機嫌そうなのかね? “グッドマン“」
 そう、何時もそれは彼女に向いていた。





 学業も終わり、遂ぞ何等変化の無い日常も半日過ぎる。
 そのまま日常を謳歌出来る立場ではない、と高音は自己を律している。
 今、高音を初め、学園に残った一定規準を上回っている能力保持者が広場に集まっていた。「一定規準」とは有り体に言えば戦闘能力であったり、「能力保持者」とはつまり魔法使いであったり――つまりは「そういうこと」、だ。
 そんな彼女達が集まっている以上、戦時でもないのにある種の緊張感が漂っていた。ここに居るのは全て味方だ、と断言出来るが、これより来訪する「モノ」はとても味方とは言えず、これも断言するが――戦闘行為は避けられまい。
 一人、長い髭を蓄えた高齢の男が、指揮者のように堂々と壇上に上がる。この場に居る者なら知らぬ者が居ない、ここ「麻帆良学園都市」の裏側――「関東魔法協会」のトップである老人だった。
 どちらの「顔」でも、「学園長」「理事長」とトップであり、彼の一声が全てを決する――と言っても何等間違いとも言えない。だからこそ、この場の緊張感も厭が応でも高まる。
「さて、集まってもらったのは他でもない。メンテナンスの日よりは断然難易度は低い―― じゃが、人員は明らかに減少しておる。本来なら、魔法生徒は休んで貰いたいが、そういうワケにもいかん。
 すまんが――学園の防衛任務、心して欲しい」
 そのトップの言葉だ、誰も異論は無い。そもそも、魔法使いの在り方は「他者の為」にある。学園都市に住まう人々の為なら、彼等に異論なぞ無いし、「言われるまでも無い」。
 だからこそ、彼等の返答は短くも力強く、想いと同じく声すら重なるのだろう。
 一斉に返る声に、頷くと「では、頼む」と皆を送り出す「学園長」。
 その彼の視線の先には、高音達「魔法生徒」の姿がある。
 その瞳の色に、愁いが混じっているのを見た
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