第9話:新メンバーを選抜せよ−3
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「んーっ! こんなもんか!」
4時間ほどかけて模擬戦の記録を整理し、自分なりの採用メンバー案を作り終えた
ゲオルグは椅子の上で大きく伸びをして首をぐるっと回した。
そしておもむろに時計を見る。
「8時かぁ・・・なんとか9時には帰れそうだな」
ゲオルグはそう言いながら端末をパタンと閉じると、
机に手をついて立ち上がり部隊長室を出ていく。
「おっと!」
ドアを開けて通路に出たところで、ちょうど通りかかったウェゲナーと
ぶつかりそうになり、思わずその場でたたらを踏む。
「あ・・・すいません部隊長」
ウェゲナーも一歩後ろに下がってゲオルグから距離をとると、
ゲオルグに向かって軽く頭を下げる。
「いや、俺の方も不注意だった。悪かったよ」
ゲオルグは微笑を浮かべてウェゲナーに向かって片手をあげると
ウェゲナーを伴って玄関に向かって歩き始める。
「ウェゲナーは今帰りか?」
「ええ、そうです。 部隊長もですか?」
「まあな」
ゲオルグはそう言って頷く。
それから2人は無言で黙って歩いていたが、しばらくしてウェゲナーが
ゲオルグの方を窺いながらおずおずと口を開く。
「あの、部隊長。 前からお聞きしたかったことがあるのですが・・・」
「なんだ?」
「なんで奥さんと結婚されたんですか?」
「は!? どう言う意味だ!?」
ウェゲナーの問いを全く予想していなかったゲオルグは、
わずかに声を荒げてウェゲナーに問い返す。
ゲオルグの勢いに驚いたウェゲナーは慌てて両手を振る。
「すいません! 全然悪い意味を込めたつもりはないんですけど、
純粋に部隊長が高町1尉を結婚相手に選んだ理由ってなんなのかと思いまして」
「そりゃお前、好きだからに決まってんだろ」
直前の怒気の名残なのか、少し荒っぽい口調でゲオルグが言う。
「いや、まあそうでしょうけど・・・」
ゲオルグの口調と目線に気圧されたウェゲナーは少し弱気な口調になっていた。
だが、彼は若干口ごもりながらも話を続ける。
「俺が訓練校に居たころなんですけど、特別戦技訓練っていう戦技教導隊の
教導官が来て1週間だけ戦技指導をしてくれる授業があったんですよ。
で、俺のグループの担当が高町1尉だったんです」
「ふーん、それで?」
ゲオルグもようやく気分が落ち着いてきたのか、興味深げな顔をしながら
ウェゲナーに先を続けるように促す。
「そのときの俺にとっては、すごく厳しい人でとてもじゃないですけど
女性として見ることはできなかったんですよ。
もちろん、きれいな人だなとは思いましたけど。
で、部隊長がそんな人と結婚したのはなんでなのかなと興味
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