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流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
23 空白の日々
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「......」

彩斗は自分の体が沈んでいく感覚に流されていた。
今、自分がいる場所には前にも来たことがある。
ここ数日の夢の中と同じ冷たい海の中。
全身に力が入らず、重くなっていくまぶたに逆らうこともできなかった。

「僕は...何をしたんだろう...」
「あなたは自分の正しい思うことをしようとしたんでしょう?」

声を掛けてきたのはアイリスに似た少女だ。
甘音色の長い髪、人形のように美しく可愛らしい表情、緑色の瞳。
姿は全く変わらない、柔らかい優しさも同じ、ただ違いは片方が覚えていることはもう片方は覚えていないことだった。

「正しい...それはどうかな?自分でも冷静を装いながら、完全にValkyrieに対する怒りで頭がいっぱいだった」
「いえ、あなたは自分自身の存在を悔いている。自分がいなければ、ミヤさんが傷つかなかったと。でもValkyrieがいる限り、自分がいようといまいと、同じように傷つく人が増えると」
「そうだね...Valkyrieがいれば、当然武器を売る。それによって同じように苦しむ人間を増やしたくない。そう思ってはいたよ。でもね、怒りはその何倍も強かった。安食を殺してやろうと思ってた。結果が無様に怒り逆手に取られて負かされた」

彩斗はため息をつきながら目を閉じた。
情けなくて涙が出そうだった。
しかしアイリスはゆっくりと彩斗の目元に手を添えた。

「あなたには出来ない?」
「え?」」
「誰でにだって恐怖はある。どんなに強い人でも、それでこそ安食空夢だって」
「....」
「それを理解すればいい。誰だって怖いものがある、自分だけが怖がってるんじゃないって」
「誰にでも...」
「あなたは自分の力、裏切り、制御できない憎悪を恐れてる。自分を信じることから始めて。自分の力は決して誰かを傷つけるためのものじゃない、自分で使い道は決められる、自分は簡単に人を裏切ったりしないって」
「...でも憎悪は?恐怖だって...自身を持っても勝つことなんて出来ないよ...」
「恐怖は勝てないからこそみんな恐れる。勝つ必要はない。でも憎悪は消せる。その憎しみの対象を排除することが出来るなら。あなたなら....憎悪にもValkyrieに打ち勝てるはず」

その一言を堺に彩斗の視界は狭まっていった。












「?....ここは?」
「彩斗くん...ようやく起きた...」

ゆっくりと目を覚ますと、目の前には先程と同じように目元から頬にかけて手を添えられていた。
その手の主はアイリスだった。
彩斗はまるで夢なのか現実なのか分からなかった。
しかし回転しない思考を僅かに動かすとすぐに現実だと理解できた。
明らかに先程のように海の中でも平気で呼吸でき
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