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東方攻勢録
第八話
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ことじゃありませんから」
 緑色の髪をしたロングヘアーの女の子は笑いながらそう言ってくれた。彼女がこの守矢神社の巫女で現人神である『東風谷 早苗』だ。
「早苗さんも元気そうですね」
「最近はですけどね。前までは結界を破壊しようとする人達のせいで力を使っていましたから」
 どうやら革命軍はここに幻想郷の住人がほとんど集まっていたことを何らかの理由で把握していたらしい。まあ送られてくる兵士は少なく結界だけでも十分防げたみたいだが。
「さて、君の話は後で聞いておくとして……客人がいるんだ。あってみないか?」
「客人……ですか?」
 俊司は少し不審に思いながらも、加奈子達に連れられて神社の中へと入って行った。

 神社の中……と言うより加奈子達の居住スペースに連れてこられた俊司は、中央に座っていたある人物を見て言葉を失っていた。
「やあ、久しぶりだね。博麗神社の戦いは見事だったよ。君の本当の力も開花したみたいで、非常に面白かった」
「お前は……宮下怜!」
 座っていたのは旧都奪還後博麗神社へ向かえと助言をしてくれた『宮下怜』だった。別に敵意があると言うわけではないが、何かただならぬ雰囲気が彼の周りを漂っている。
「まあまあ、今日は争いごとをしに来たわけじゃない。ほら、このとおり」
 宮下は立ちあがると腰回りに武器をつけていないことをアピールした。前回もそうだったようにいきなり襲ってくる事はなさそうだ。
 だが問題は彼の能力だ。彼の『対象を拘束する程度の能力』を使えばここにいる全員を弱らせることなんて容易い。俊司は最低限の警戒心を払おうとはしなかった。
「あの時と同じだね。まあいいや」
「俊司さん……知り合いですか?」
「霊夢達を助けるきっかけを作ってくれた人だ。だからって味方じゃない」
 俊司は彼に対面するようにして座る。しばらく無言の間が開いた後、宮下が少し笑ってから話を始めた。
「さて、僕の話はまだしていなかったね。僕はクルトくんと同じ革命軍の幹部みたいな存在の一人。地霊殿を管理していた人とも言えるかな?」
「地霊殿を……? じゃああのばればれの囮作戦は?」
「僕がわざとやらせた。時間稼ぎのためにね」
 宮下が言うには地霊殿の戦いはもとより勝つ気はなかったらしい。研究施設でもあった地霊殿は多くの研究データが存在しており、それを失うことは革命軍にとって致命的なものだった。戦闘に勝つことが出来ないと判断した宮下は、一番効率的に時間を稼ぐ事が出来る方法としてあの作戦を考えたのだ。戦力を分担させて正面から叩くより、中に引き込んでからまとめて叩く方が時間を稼げるからとのこと。もし俊司達が罠だと判断して侵入をやめたとしても、次の作戦を考えるまでの時間を作らせる事が出来る。よく考えられた作戦だった。
 改めて考えると宮下は恐ろし
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