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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十八話 諮問委員会
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思っていないからな。“ここまで来たんだ、後は自分達でやれ”、そう言いかねん男だ」
レベロが失笑した。
『確かにそうかもしれない。しかし最高評議会としては彼をこちら側に取り込みたいと思っているんだ。分かるだろう?』
「……」

『皆が彼の力量を認めている、そして懼れている。彼を敵に回したくないんだよ』
「穏やかじゃないな、敵に回すとは」
私が笑ってもレベロは笑わなかった。
『二個艦隊で早期にハイネセンを解放したのは正解だった。制圧戦に参加したのもね。あれのおかげで我々の政治的基盤は盤石といって良い。彼が単なる軍人じゃない、政治センスの豊かな政略家、戦略家だという事は皆が理解している』
「……」

『シトレ、議会内に彼を利用しようとしている勢力が有る』
「……まさか」
『利用しやすいんだ、英雄というのは。連中だけじゃない、他にも彼を利用しようとする者は多いだろう。妙な事になる前にこちら側に彼を取り込みたい、彼を守ることにもなる』
何時の間のか小声で話していた。

取り込みたい、守ることにもなる。嘘ではないだろう、かつて私も同じ事を考えたのだ。帝国に戻す事は出来なかった、殺すには惜しかった。同盟に取り込み活かす事で彼を守ろうとした……。代議員だけじゃない、彼らにもヴァレンシュタインを利用したいという思いはあるとみてよい。やっている事は皆同じだ。だが彼の力量を知っているだけ議員達よりレベロ達の方がましではある。彼の力を国家のために利用するだろう。

「そっとしておくというのは無理なのだろうな」
レベロが首を横に振った。
『無理だ、悪い事に彼は若い。利用し易いと思われがちだ』
「……反対はしない、但し彼の説得はそちらでやってくれ」
『そう言わずに手伝ってくれ、いつもの家で、な、頼むよ』
情けない顔をするな、レベロ。溜息が出た。




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