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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十八話 諮問委員会
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るほど、そういう事か。政治家というのは喰えない連中だな。
「これから先色んな問題が出るだろうな。諮問委員会からの提言という形で政府が直接言い難い事を言わせるのか。議長の楯じゃないだろう、政府の楯だろう」
『まあそういう部分もあるかもしれない』
ホアンじゃないんだ、惚けるのは下手だな。
「しかし常設ともなれば議会の承認が必要だろう、大丈夫なのか?」
『それは何とかなる。議会も和平が結ばれれば世の中が大きく変わる事は理解している。諮問委員会の必要性を訴えれば反対はし難い。下手に反対して社会が混乱した場合、議会の非協力的な態度が混乱を招いた等と非難されたくは無い筈だ』
なるほど、諮問委員会を創らせておいて失敗が有れば政府を非難する、そんなところか。安全な場所からチクチク刺して楽しむという奴だ。非難はしても責任は取らない……。
「一つ気になる事が有る」
『何かな』
「発言権は有っても議決権は無いと言ったな。それでは諮問委員会からの提言が無責任なものにならないか? どうせなら議決権も与えて責任を負わせた方が良いと思うが」
『……なるほど、一理あるな。こちらは議決権が無い方が議会に説明しやすいと思ったんだが……、そこは検討してみよう』
レベロがウンウンと頷いた。
「まあ上手くやってくれとしか言いようがないな」
国防費は予算削減か、分かっていた事だが頭の痛い事だ。煩く騒ぐ連中が居る事だろう。主戦派を潰しておいて正解だな。
『それでだ、シトレ。委員長にはヴァレンシュタインをと考えているんだが君は如何思う?』
唸り声が出ていた。
「彼は亡命者だぞ。和平問題を扱わせるのは難しいだろう。それに歳が若すぎる」
何かにつけて議会の馬鹿共から亡命者だから帝国に甘い、若いから未熟だと非難が出るに違いない。
『しかし彼以上の適任者が居ると思うか? 和平を実現するためには帝国と同盟の内情を知っている人間が必要だ』
「それはそうだが……、レベロ、ヴァレンシュタインを委員長にというのは君だけの意見なのか?」
レベロが首を横に振った。
『いや、最高評議会の総意だ。君が如何思うか聞きたいと皆が言っている。付き合いは一番長いからな』
また唸り声が出た。長いからと言って心を許しているとは限らないんだが……。
『和平を結ぶとなればレムシャイド伯と下交渉を行う事になる。伯爵に話したのだが妙な人間と交渉するよりはヴァレンシュタインの方が有り難いと言っていた。手強いが交渉の出来る相手だとね』
「なるほど」
レムシャイド伯が恐れるのは交渉の出来ない相手、つまり頑迷な教条主義者、或いは世論に押されて自分の意志で判断出来ない人物だろう。議会の馬鹿共など論外だな。
「確かに適任かもしれない。しかしな、本人は嫌がるぞ、政治に関わりたいとは
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