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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十八話 諮問委員会
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の事は我々も考えたんだが……』
歯切れが悪い、レベロは顔を顰めている。
「拙いのか?」
『拙い事になりつつある、議会が動いているんだ。トリューニヒトも頭を抱えている』
議会? 同盟議会が動いている? どういうことだ?

『議会の一部に和平問題を検討しようという動きが有る。具体的には外交審議部会を立ち上げそこで和平問題を検討して政府に意見を提案しようとしている』
「……和平交渉に絡みたいという事か、意見を吸い上げるという意味では悪い事じゃないと思うが。議会に対してガス抜きにもなるだろう」
レベロが肩を竦めた。
『それならいいんだがな』
「違うのか」
私の問いかけに渋い表情で頷いた。

『連中の狙いは人気取りさ。主戦論が同盟市民に受け入れられなくなったとみて和平論でポイントを上げようとしている。連中の考える和平論がどんなものか分かるか?』
「いや、想像が付かんな」
レベロがフンと鼻を鳴らした。

『主だったところではイゼルローン要塞の明け渡し、フェザーンの割譲、立憲君主制への移行だな。到底ガス抜きとは言えん』
溜息が出た。主だったところというからには細かい要求はもっとあるのだろう。なるほど、主戦論が力を失った以上別なスローガンが要るという事か。それが少しでも帝国から利を得たい、利を得るべきだ……。

「無理だな、帝国が受け入れるはずが無い。一体何を考えているのか」
『何も考えてはいないさ。ただ騒いで目立ちたいだけだ。同盟市民に耳触りの良い事を言ってな』
「……」
『トリューニヒトに和平問題を預ければ連中は猪みたいにトリューニヒトに突っかかるだろう。言葉尻を捕えて騒ぎまくるのは目に見えている。クレーマーと同じだよ。各委員会が引き受けないのにはそれもあるんだ。面倒事はご免だというわけさ』
「ではどうする?」
レベロが口元に笑みを浮かべた。

『最高評議会直属の諮問機関を作ろうと思っている』
「そこで和平問題を検討させると?」
『そうだ。そして諮問機関の責任者には政府の討議に加わり議長の楯になってもらう』
「つまり外交委員会の代わりか」
『それだけとは言えない』

『諮問機関には和平問題だけではなく様々な問題を検討させようと思っている』
「様々というと?」
『和平が実現すれば同盟は大きく変わる。政治、経済、軍、社会、様々な分野に影響が及ぶだろう。それを検討させ政府に助言させる』
「常設の組織にするというのか」
レベロが頷いた。

『名称は最高評議会諮問委員会。メンバーは各委員会から一名、書記局から一名。それとは別に軍から一名、委員長は最高評議会が選出する』
「……」
『委員長は最高評議会に常時出席する。発言権は有るが議決権は無い。あくまでアドバイザーとして最高評議会に参加する』
……な
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